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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第六話『蒼空舞う風獅子の翼・前編』
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離で受けたら、絶対防御の発動でどれだけのシールドエネルギーが減らされるかわかったもんじゃない。
二つ目は機動力の差。僅かな差とはいえ、俺の方はここに至るまでにそれなりの被弾をしてきた。逆にオルコットの方は、多少の被弾こそあるものの、俺ほどダメージを受けてはいない。
この状況で接近戦に持ち込んだところで、ミサイルの餌食になった後に距離をとられ、ライフルの射撃を受けて負けるのは目に見えている。
だからといって、打つ手なし……と言うわけでもない。ないのだが……。
《駄目だよ、マスター。今の段階で【それ】を使えば、シールドエネルギーがかなり減っちゃう。
そうなったら、幾ら奇襲になっても後が続かなくなる可能性だってあるよ》
「……わかってる…!」
俺は拳を握り締め、オルコットを見据える。
「――三十四分。持った方ですわね。褒めて差し上げますわ」
「それは嫌味か……? オルコット」
「いいえ、純粋な賛辞ですわ。真行寺修夜」
そう言うオルコットの目には、人を見下すような感情は見られない。
「このブルー・ティアーズを前にして、初見でここまで耐えたのはあなたが初めてですわ。
しかも、わたくしのビット制御の欠点を見抜いておきながら、他の攻撃にまで警戒するその慎重さ、今までの攻防における戦闘のセンス。
どれをとっても、あなたはそこらにいる他の男性とは違うと理解できますわ」
「……そうかよ」
「ですから、もう……ここで終わりにしませんこと?」
「……何だと?」
オルコットの突然の提案に、俺は思わず聞き返す。
「最早あなたに出来ることは殆どありません。残っていたとしても、出来ない理由があるからこそ、あなたは行動に移せないでいるのでしょう?
……よく頑張りましたわ。あなたは十分認めることができる人物です。ここで……お止めになったとしても、誰も笑いはしませんわ」
「……」
「もう争う必要は無いではありませんか。あなたはわたくしに、自身を認めさせましたわ。
それはあなたの中でも十分、勝ったことになるのでしょう?」
オルコットの降伏勧告……確かに、普通の奴ならこのオルコットにここまで言わせれば、勝ちといえるだろう。いや、実際彼女の言うように『勝負には勝っている』。あれだけのプライドの塊に“謙虚さ”を引きずり出させたのだ、しかも彼女が軽蔑する“男”がだ。……意外な気もするが、彼女なりの“慈悲”ってやつか…。
「確かに、今の現状なら魅力的な提案だな」
「でしたら……」
「だが断る」
俺の一言に、一瞬緩みかけたオルコットの表情が厳しさを取り戻す。
「何故です? この戦況が理解できないほどあなたは愚かではないはずですわ。それとも、わたくしの見込み違いでしたか……? あなたはもう『
詰み
(
チェックメイト
)
』ですのよ」
その言葉に、オ
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