暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第五話『蒼空(そら)へ』
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い手甲と、猛獣の爪を思わせる金色のパーツが目立つナックル。脚部も、特に足先はネコ科の猛獣を思わせる爪をあしらってあって、空を飛ぶというよりも陸を駆ける方が得意そうな感じを受ける。
改めて見てみるけど、かなり趣味的だよなぁ、このデザインセンスは……。まぁ、気に入っているんだけど。
「なんというか、思ったよりこじんまりとしている言うか……」
山田先生が横からほろりとこぼす。千冬さんもおおよそ似た印象を持っているようだ。
小さく見えるのは、飛行用のブースターがよく見るISのもの以上に小さいからだ。そうだな、折り畳まれた一対の鳥の羽を機械で箱型に造形したような感じだ。大きさも俺の肩から腰の辺りまででまとまっている。
「本当に、これで飛べるのか?」
「問題ないさ、試験運用とはいえ、実際コイツと修夜はもう何度も一緒に空を飛んでいるからね」
怪訝そうな顔で疑問を投げかける箒に、拓海は確かな自信を込めてそう答えた。
確かに俺も最初は、このブースターの小ささに目を疑ったな。けれども、実際に動かしてみて改めて拓海と蒼羽技研の凄さを思い知った。
やっぱりすごいヤツだよ、拓海は――。
なら応えるしかないよな、拓海の期待……いや、それだけじゃない。
「一夏、箒」
「……?」
「な、なんだ?」
俺の声に、二人は応える。
「……行って、勝ってくる」
確固たる意思を瞳に込め、微笑んで拳を二人に突き出す。
「当たり前だ。お前が負けるなんて、想像できねぇよ」
「ああ、そうだな。だが、宣言したんだ……必ず勝ってこい、修夜!」
一夏と箒は、微笑みながらそれぞれの拳で俺の拳を軽く叩く。ただそれだけで、俺には十分二人の気持ちが理解できた。
《良い友人達だね、マスター?》
「ああ、自慢の友人達さ。それじゃ行こうか、シルフィ」
《うん!》
笑顔で頷くシルフィの声を聞き、そのままピットゲートへと歩を進める。
こいつが俺達の初陣だ。しっかりと勝って来ようぜ、風の獅子……【エアリオル】!
「真行寺修夜、エアリオル・ゼファー……出撃する!」
そう力強く言葉を紡ぎ、俺はセシリアの待つ蒼空(そら)へと飛び立っていった

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