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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第三話『部屋割り事件と活殺の心得』
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者だ。
何かしらの力を振るう者、それを極めようとする者ならば、力の使いどころを常に意識しなければならない。
ただ感情の赴くままに振るってしまえば、それはただの暴力、最悪は殺人術にまで発展する。武芸者は、それをまず自覚しなければならないのだ。
箒の父親であり彼女の師にあたる篠ノ之柳韻(しののの りゅういん)は、その事を箒に教えている筈なんだが、彼女が引っ越した後の彼の所在は不明なので、今の段階では彼に聞きようがないがな。
「……だったら」
「ん?」
「だったら俺は、そうならないように努力する。
 時には優しさを捨てないと誰かを救えないなら、捨てずにすむように力をつけて誰かを救う。
 その為の力が、今の俺にあるんだから」
一夏もまた、俺の目を真っ直ぐに見据えて言う。一夏らしい決意といえば、一夏らしいと言えるな。
だが、その言葉に俺は溜息をつく。
「阿呆か、お前は」
「んなっ!?」
「一人で全てを護れるほどお前は強いか? 一人で全てを救えるほどお前は聖人君主か?
 違うだろ。俺もお前も、大切な人を傷つけられれば怒るし、全てを救おうと思うほど人間が出来ちゃいない」
「けど……」
俺の言葉に顔を伏せる一夏に、俺は続ける。
「別に否定しやしない。それがお前だってのは、よく分かってるからな。
 けど、間違いを間違いと言う強さもまた、必要だって事だ。例えそれが幼馴染みや実の姉であってもな」
「………」
「優しさだけで誰かを護れるほど世界は簡単じゃないし、強さだけで生きられるほど単純でもない。
 そして、その両方だけで全てを救えるほど優しくもない。……【一人】じゃぁな」
「えっ……?」
顔を上げる一夏に、俺は微笑んで言う。
「それでも尚、そうしたいなら周りを頼れ。【仲間】を作れ。
 それだけで、可能性は広がるんだからな」
「修夜……」
「もし、お前にとって本当に困難な場面に遭遇した時は、素直に俺や箒に頼れよ。一夏。
 お前が本当にその道を真っ直ぐに進みたいなら、な」
そう言って、俺は再び背を向け、自室へと戻っていった。

――――

因みに……。
「お帰り〜、しゅうやん」
「……布仏さん、何をしていらっしゃるのかな?」
「しゅうやんのノートPCでゲームやってる〜」
「確認中だから荷物触るなって言っただろうがー!?
 つか、何勝手に人のPC弄ってんだ、己はー!?」
「ふにゃ〜!?」
留守番をしていた本音が、何故か俺のノートPCでMMO系ゲームのSoB(Sword of Bullet)をプレイしていたので、お仕置きしておきました。
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