呪歌
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、頭だけじゃなくて耳も悪いんだね。『何すんだテメェ』・・・普通、聞こえるでしょ」
いつの間にか起きたルーがカゲヤマの足を退かす。
その目には怒りが燃えていた。
「妖精の尻尾って、いやぁ随分目立ってるらしいじゃない?正規ギルドだからってハバきかせてる奴ってムカつくんだよね」
「あっそう。勝手にムカついてれば?それで気が済むなら、ね」
ルーがナツを庇うように前に立つ。
「うちら妖精の尻尾の事、なんて呼んでるか知ってる?妖精だよ、妖精」
ルーの顔が険しくなる。
カゲヤマはルーを押し退け、ナツに向き合った。
「ハエたたきーっ!えいっ!えいっ!」
「てめ・・・」
「おー、やるのかい?」
「くあぁあっ!」
これがギルドだったらナツは確実に勝つだろう。
だがここは列車の上、という事は自然と・・・。
「うぷ」
「ヒャハハッ!何だよ、その魔法」
「ナツ!そっか、ここは列車の中・・・あれ?ティア達は?もしかして置いてかれた?」
酔ってしまい、炎が消える。
そしてようやく置いてけぼりを食らったと気づいたルー。
「魔法ってのは・・・」
ぐいーんっとカゲヤマの足の影が伸びる。
「こう使わなきゃ!」
「うごっ!」
「大空短剣!」
影が拳と化し、ナツに一撃加える。
続いて自分に向かってきた影をルーは斬り裂いた。
「ヒャハハハハハハッ!」
「く・・・くそ・・・」
「ここは僕がどうにかするから、ナツは休んでて!ほらっ」
すると突然列車が止まった。
ティアが緊急停車信号のレバーを降ろしたからである。
列車が大きく揺れた。
「うわっ!何だよ、急停車か!?」
カゲヤマのカバンの蓋が開き、何かが飛び出る。
「止まった・・・ん?」
髑髏の笛だった。
三つ目の髑髏、木のような材質だろう。
「み、見たな!」
カゲヤマが慌てた様子で言うが、ナツにとってそれはどうでもいい。
同じくルーもどうでもいい。
そんな笛より大事な事がある。
「うるせぇ・・・!」
「さっきはよくもナツを・・・」
「え!?」
「「お返しだ!」」
勢い良くナツの拳とルーの風の短剣がカゲヤマに直撃する。
そのまま何度か地面を跳ね、壁に激突した。
「ハエパンチ!」
「ハエナイフ!」
「て、テメェ・・・」
ナツは腕を、ルーはナイフを持っている手をハエのように細かく振る。
すると列車内にアナウンスが流れた。
『先ほどの急停車は誤報によるものと確認できました。間もなく発車します。大変ご迷惑をお掛けしました』
「マズ・・・」
「逃げようっ!」
「逃がすかぁっ!」
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