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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
七十八話:揺れる夜と揺らがぬ朝
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に強くないから、前に出てきたらダメだよ。身を守っててね」
『スラリン!まもる!』
スラリンは良い子だからたぶん大丈夫だろうと思いつつ、念のため頭頂部にビアンカちゃんのリボンを結んで、賢さ対策をして。
するっと抜けて外れるかと思いきや、吸盤がくっつくように吸い付いて収まってました。
外そうとすれば、また簡単に外れたし。
ブーメランもおなべのフタも同じように吸い付いてるみたいだし、どういう仕組みだ。
スラリンを後ろに控えさせて戦闘をこなしながら東に進み、ラインハットとの国境の川にある関所に到着します。
十年前は、パパンとモモが一緒だったなあ。
と漠然とした思いに浸りながらヘンリーの後に続き、スラリンを連れて歩きます。
ヘンリーが、関所を守る衛兵さんに声をかけます。
「ラインハットに行きたいんだが。通れるか?」
「許可証はあるのか?」
「無いな。昔は、そんなものは要らなかったと思うが」
「太后様の命令でな。今では、許可証の無い者は通せないんだ。すまないな」
あれ。
ゲームの感じより、ちょっと物腰が柔らかいような。
「そう言わずに、通して貰えないか。トム」
「なぜ、私の名を。知り合い……では無い、よな?」
さらっと名前を呼ぶヘンリーに、衛兵さんが少々驚いてます。
ちょっと違ったけど、そこは合ってたのか。良かった。
「背中にカエルでも入れれば、驚いて退いてくれるか?ベッドに入れておいたときほど、反応は良くないだろうが」
「……そ、そんな……まさか……」
「久しいな、トム」
「まさか、本当に!ヘンリー王子様!!」
「ああ、そうだ」
「なんと、お懐かしい……!まさか、生きておられたとは!今、この国は」
「待て。話は気になるが、悪い話ならやめておけ。兵士が国を悪く言っては、色々と差し障るだろう」
「……はっ!」
ゴタゴタしてたから、町でラインハットの話とか聞き回って無かった。そう言えば。
でも、良い状況では無いのは間違い無さそうだ。
「通してくれるな?」
「はい!喜んで!」
衛兵のトムさんの見送りを受け、無事に関所を通過して地下道を通り、対岸に出たところでヘンリーが口を開きます。
「少し、見ていってもいいか?」
「来たこと無いの?」
八年間、この国の王子様やってたのに?
「ああ。体が弱いってことになってたからな。ほとんど、城から出たことが無かった」
「そっか。じゃあ、見てこうか」
王子様も大変だね。
このあと王兄殿下に収まれば、やっぱり自由には出歩けないだろうからね。
少しの手間なんだから、見られる時に見ておこう。
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