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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第73話 湖の住人
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る水の神格。更に、晴明桔梗印結界で能力の著しい低下を余儀なくされているグラーキーが相手なら、現状で精霊を従える能力は湖の乙女の方が上。

 右腕を高く掲げる(タバサ)
 その先に現れる強烈な光輝(ひかり)
 俺自身では絶対に制御し切る事の出来ない巨大な龍の気を、完全同期状態と成ったタバサが完全に制御し切る。

 収斂(しゅうれん)と収束は一瞬。丹田で発生した龍が脊柱を駆け登り、琵琶骨から右腕。そして、高く掲げられた光輝へと更に龍の気が注ぎ込まれる。

 これで四度目の使用。俺自身にも自らの能力として慣れのような物も存在する。

 眼下には巨大な身体を冒涜的に蠢かせながらも、その捕らえられた結界を破るに至らず、鈍重な回避運動に終始する湖の住人グラーキーの姿が。
 そして、失った神気……精霊の護りは未だ回復する兆しはなし。

 周囲は俺の気を指し示す強き蒼い光輝に満ち溢れ、轟々と強き風が舞い始める。
 但し、この風はこの地方の季節風ミストラルに非ず。ましてや、湖の住人グラーキーが開いた異界から吹き寄せる腐臭を伴った魔風(かぜ)でもない。
 これは、俺の龍気が巻き起こす風。
 風を呼び、雨を降らせる大自然の化身。東洋の龍の神気を持つ俺の気の増大が、世界に影響を与えて居る状態。

 高く掲げられた蒼き光輝。この槍を持つ者は世界を制すると伝承にて語られる槍が、世界の義を囁く。
 溢れだす光輝は遙か彼方にまで広がり、夜の世界に真昼を呼び寄せた。

 そして、

「――――神を屠れ」

 自然と口から発せられる言葉(禍言)
 そう。既に俺の全身に納まり切らない異常なまでに巨大と成った龍の気が周囲に影響を与え始め、
 その臨界点まで高められた龍気が、自らの肉を、骨を、精神すらも喰い尽くすかと言う状態へと移行。

 但し、精神は異常な昂揚に包まれている状態。
 それは万能感。神すらも屠る事が出来る自らの能力に酔い、ともすれば意識がそちら側。俺の持つ一番危険な方向にシフトしようとする。
 タバサが共に存在していなければ、能力を制御し切れずに暴走を開始する可能性の高い、非常に危険な精神的な高まり。

運命の槍(スピア・オブ・ディスティニー)!」

 無造作に振り降ろすと同時に紡がれた(ことば)に因って、世界の在り様が変わった。
 そう。完全に解き放たれた運命が今、晴明桔梗印に必要な最後の点穴を。そして、エルダーサインに必要な最後のパーツ、燃え上がる瞳を描いた。

 瞬転、世界が変わる。

 運命すら書き換える槍が穿ったのはグラーキー自身の運命。
 上空より放たれた光輝に因り身体の中心を撃ち抜かれた巨大な身体が一瞬、その動きを止めた。
 そして、その穿たれた穴に大量の海水、
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