第5章 契約
第73話 湖の住人
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しの良い状態にするのが俺のような仙人の役割でも有る」
澱みから発生するのはそれに相応しい陰の気。そして、その陰の気を更に取り入れて行く事に因って、更なる陰の気を生み出す結果と成り……。
現在の、このハルケギニア世界を覆い尽くそうとしている陰の気は、クトゥルフの邪神と言う、人類や世界に取っては最悪のヤツラを呼び込もうとして居るように思いますからね。
俺の言葉を黙って聞いて居たティターニアとの間に、僅かな空白が訪れた。
タバサと湖の乙女はマルセイユの街で土地神と共に疫病対策に奔走している。
ダンダリオンやハルファス。それにノームやハゲンチはこの聖堂。後の世では間違いなく、ノートル=ダム聖堂と呼ばれる事と成る聖堂の総仕上げや、ここで修道女として神に仕える巫女と成る少女たちの教育に出回り、俺の元には存在していない。
「私と契約を交わして頂けますか、忍さん」
普段の落ち着いた静かな雰囲気と言う因りは、やや明るい雰囲気でそう問い掛けて来る妖精女王ティターニア。
そして、これはガリアの世嗣と成る人間ならば、本来は必ず通過しなければならない通過儀礼だったはずです。
かつての……。遙か過去に失われて仕舞った、土の系譜を継ぐガリア王家の血を受け継ぐ世嗣ならば。
しかし……。
「おそらく、この世界で俺が歩む道は冥府魔道。かつてのガリアの世嗣が辿った、人が歩むべき道とは違う道を俺は歩む事を自らに課した可能性が有る。
そんな相手を契約者として求めるよりも、今回のグラーキーの夢引きから、精霊を見る能力が開花した少女たちの中から契約者を選んだ方が、結果として精霊界の為にも成ると思う」
本来、大地の精霊とは争いを好まない種族。まして、この世界に召喚されてからの俺の歩み行く先に広がって居るのは、正に屍山血河。死体が山のように積み重なり、多くの血が流され、赤い大河を造る。
そんな人間を、ただ、能力が高いからと言って土の契約者として選んで良い訳は有りません。
拒絶に等しい俺の言葉。その俺を見つめる深い黒の瞳が僅かに揺れた。
しかし、次の瞬間、彼女から発せられたのは決意。それは、タバサが。そして、湖の乙女が発した物とまったく同種の物。
そして、ゆっくりと首を二度横に振るティターニア。
その瞬間、僅かに香る花の香りが、彼女が春をイメージさせる女神で有る事を確信させる。
「貴方が、何かの使命を持ってこの世界を訪れている事は知って居ます」
ゆっくりと、一文字一文字を確実に発音するかのように口にする彼女。しかし、何故かその瞬間、俺には彼女が日本語で発音しているかのように感じられた。
実際、耳から聞こえて居るのは日本語。いや、日本語が聞こえて居る心算で、本当はこのガリア共通語が聞こえ
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