第5章 契約
第73話 湖の住人
[11/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
何故ならば、意味もなくグラーキーが彼女たちを集めた訳では有りませんでしたから。
つまり、集められた少女たちには、最初からそれなりの霊的な才能が有ったと言う事。
そして、それは、今回の夢引きにより更に鋭敏な感覚として研ぎ澄まされ、ある程度の物質度を持つ存在。具体的には俺の式神ノーム程度までならば、視認可能な能力と成って現れて居ました。
それならば、ここに出来上がるのは巫女と神と言う正しい関係。
要は土地神や精霊などの声をブリミル教の示す聖人の声だと認識させてやれば、彼女らや、この街の住人の祈りや信仰の力をそっくりそのままブリミル教から、精霊や土地神の方に移す事が可能ですから。
それに、見鬼の才を持って居るだけで身を護る術を持たない人間は、異界から侵略に対して最初の犠牲者と成る可能性が高い以上、あの少女たちには、自らの身を護る術を手に入れて貰う必要も有りますから。
「それにな。六千年眠り続けたこの世界の問題は、そのブリミル教に有ると思って居る」
俺はそれまで見上げていた聖人像から、そのモデルと成った少女神の方向に視線を移した。
其処には、この地方特有の強い北風に長い黒髪を靡かせながら俺を見つめる少女の姿が存在している。
「ブリミルが伝えた魔法のみが世界を支配し、それ以外は悪魔の所業。ブリミル教の教え以外は異端の知識。
この唯一絶対の価値観が世界の硬直を招き、六千年もの長きに渡って眠り続けるような状況を作り出した」
それに普通に考えると、その六千年と言う長い間、大きく変わらない文明レベルを維持したと言う事さえ胡散臭いと思って居ますから。
何故ならば、地球世界の歴史から考えると六千年前と言う事は、始まりの時代を日本の歴史で言うのなら、それは縄文時代の頃。そして其処から六千年掛けて辿り着いたのが、清教徒革命の時代と言う事は十七世紀。
但し、アメリカ大陸などが発見されて居らず、植民地をヨーロッパ各国が持って居ないトコロから推測すると、実質的な時代はもっと前と考える方が妥当。
流石に、六千年掛かってそのレベルの状況では……。
まして、外敵。エルフと言う人類共通の敵が存在する中で、更に、ブリミル教と言う人類共通の価値観が存在するはずなのに、その文明の進歩するスピードは異常に遅いと俺は思うのですが。
特に、魔法と言う便利な技術を持って居て、それがごく一部の者に因り秘匿された技術として存在していた訳ではなく、ある程度の不特定多数に使用が可能だった、と言う事のはずですから……。
そう考えると、矢張り問題は、その共通の価値観の方に問題が有ると考える方が妥当でしょうから。
「もし、俺の考えが正しいのなら。停滞し、澱んだ気を元々そうで有るべき正常な流れに戻す……。少しでも風通
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ