第5章 契約
第73話 湖の住人
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って危険な攻撃を加えられる事はない。
そう考え始めた正にその刹那。
何とも表現の出来ない大音声が場を支配した。
それは獣とも、それ以外の何モノかも判らない……。いや、通常の理が支配する世界に住む如何なる生物も発する事の出来ない異世界の声。
そして、無理矢理引き裂かれる世界の理。その事に因って常人ならば眩暈と吐き気……。何より畏れに因って立って居られない程の状態をもたらせる違和感が発生する。
これはヤバい!
危機的状況の発生に周囲の生者……つまり、簀巻き状態で転がされているジュール・セザールも含める、すべての生者を巻き込んで上空へと退避を行おうとする俺。
しかし! そう、しかし!
突如、沸き起こる鳴動。
自らが。タバサが。湖の乙女が。このイフ島に存在するありとあらゆる物が震えていた。
その瞬間、大地より発生する林立する何か。
そして、俺及び俺の周囲に集まった少女たちの周りに発生する防御用の魔法陣の煌めき。
刹那。数本の棘が、自ら召喚した異世界の鎖により捕縛され、大地に転がされていたジュールの身体を貫いた!
そう。おそらく、あのタイミングで配下のグラーキーの奴隷たちに俺を襲わせたのは、俺やタバサたちを排除する目的ではない。
本来なら、戦闘の最中に奇襲攻撃を行って来る心算だったのでしょうが、その暇を与えずに戦闘を終了させられた為、簡単に贄に出来そうなジュール・セザ−ルを確保した上で、ついでのように俺たちにも、そのグラーキーの棘を放って来たのでしょう。
確かに、奇襲攻撃などの方法でなければ、グラーキーの棘で俺やタバサ達を貫く事は不可能でしょうから。
それに、伝承でも伝えられています。グラーキーは、自らの棘を犠牲者に突き立てる時は、自らの奴隷共に犠牲者が逃げられないように身体を拘束させるのだと……。
そして、この場で身体を拘束されていたのはジュール・セザールのみ。包囲をして取り押さえようとした俺やタバサたちを拘束する事に、彼女ら……グラーキーの奴隷たちは失敗して仕舞いましたから。
そう。俺の想像では、今回の事件の黒幕は湖の住人グラーキー。
元々、ここに在った湖の修道院とは、グラーキーの奴隷を作る為の場所。初めからイフ島に存在していたのは、ブリミル教の皮を被ったグラーキーの信奉者たちの巣窟。
但し、伝承や古の知識。狂気の書物の記述に因ると、ヤツ自身の力は現在ではかなり弱まっていると言う事でしたから……。
そして、それを証明するかのように、三年前の海賊に因る襲撃事件が起きる前は、グラーキーに因る夢引きの犠牲者。夢遊病者の如き状態でヤツの元に招き寄せられ、グラーキーの従者。先ほど、俺たちが相手をさせられた修道女たちのような存在に
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