第5章 契約
第73話 湖の住人
[1/13]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
しかし、その瞬間に奇妙な……何と言うか違和感にも似た感覚を覚える俺。
周囲を支配する雰囲気は戦闘が終了した直後の、未だ緊張感を漂わせている状態。が、しかし、それでも、戦闘中と言う程の殺気を孕んだモノでは有りません。
廃墟の聖堂内の床の上には、未だ自ら召喚した鎖で縛り上げられ、俺の術に因って動きと術を完全に封じられたジュール・セザールの姿が。
そして、周囲に飛び散った緑色の液体が発する死の面影。
それは、戦場に付き物の死臭……。
しかし……。
周囲を丁度一周分確認した後に、更に強くなって行く違和感。
そう、俺やタバサたちが相手にした元修道女の人数は、こんなに少なかったのだろうか。……と言う疑問。
周囲に存在した元修道女。現在の存在を正確に表現するのなら不死者と呼ぶべき彼女ら。緑色の液体を発して居たその彼女らの身体や、斬り跳ばされた四肢の残骸の量が少なく成って居るような気も……。
そう考えてもう一度、しっかりと確認し直す俺。
いや、明らかにシスター服だけを残して、中身の肉体の部分が消えている!
そう確信した刹那、聖堂の床から生えて来るように振るわれたカギ爪を、石造りの床を蹴り空中へと回避する事で危うく躱す俺。
そして、それと同時に雷公の腕を召喚!
瞬転、此の世成らざる者の悲鳴が轟く。
大地より染みだすかのように発生した少女の裸身を持つ何モノかがその雷に因り次々と貫かれ、先ほどと同じように大地に緑色の液体を撒き散らせながら、元の物言わぬ骸へと姿を変えて行く。
但し、彼女らは元々不死者。腕を断とうが、脚をもごうが、這い寄ってでも接近して来る存在。
大地に降り立ち、そのまま片膝を大地に着けた低い体勢から右腕を振るう。
その瞬間、右手の中に現れる蒼白き光。
その身を屈めた俺に向かって飛びかかって来る裸身の少女たち。
四方から突き出して来るカギ爪。しかし、その攻撃は単調にして単純。所詮は、人間としての格闘術の経験を持たない存在に操られた不死者。
一瞬にして前方三方向のカギ爪を、その繰り出して来る腕ごと斬り跳ばし――――
その瞬間、俺に背中に人の気配。
但し、この気配は問題ない。そう確信した瞬間、俺の背後に接近して来た少女に因り、最後の一方向から繰り出されて来ていたカギ爪が腕ごと斬り飛ばされていた。
戦場と成った廃墟の聖堂にて、背中を合わせた形で立つ二人の蒼髪。
そして俺とタバサの後ろに音もなく近付き、援護の位置に着く湖の乙女と妖精女王。
この一瞬の隙間に、消費させられた物理反射が俺に再び施された。
問題なし。今までの奴らの攻撃力や戦闘時のスピードから類推すると、この湖の修道院跡に現れた不死者どもでは、この場に存在する四人に取
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ