第三十四話「只今絶賛遭難中」
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出ていた。
彼の伏せていた顔が上がる。その表情を見た途端、思わず凍りついた。
「いってぇなあ、このクソアマッ!」
「ひっ……!」
聞いたことのない怒声。反射的に首がすくんだ。
「人が優しくしてりゃ調子こきやがって……血ぃ出ちまったじゃねぇか!」
「あ、あの……ご、ごごごめ――」
「せっかく人がてめぇの錆びれたバージン貰ってやろうと思ったのによぉ、なに拒絶してくれちゃってるわけ?」
彼の口から信じられない言葉が出た。
「…………え?」
ポカンと馬鹿みたいに口を開けて呆ける私に、忌々しそうに舌打ちする。
「てめぇは落ちこぼれだが身体だけはそそる身体つきをしてやがる。顔も見れる形だしよ。俺の恋人に加えてやろうと思ったんだけど」
ニヤッと顔を歪ませる彼。
その顔は、見たことがある……。
私の身体を舐めまわすように見てくる男たちと同類の、ソレだ。
「予定変更だ。てめぇは公衆精液便所に調教してやる。ビッチはビッチらしく男たちの性のはけ口にされるんだな。お古はいらねぇし」
「あ……あ、あ……」
歪んだ顔のまま私に手を伸ばしてくる彼。
恐怖で麻痺した身体は動いてくれない。
一体、なにがなんだかわからない……。
これは、なに?
今日は楽しいデートじゃなかったの?
彼はなにを言ってるの?
私はなにを見て、なにを聞いてるの?
もう、なにがなんだか分からない……。
「あ……、お、おべ……と」
不意に彼の脇に置かれたお弁当が目に入った。
朝早く起きて作ったんだ。
他ならない彼のために。
食べてもらわなきゃ。
お弁当箱に手を伸ばし、彼に差し出す。
「あ、あ……の、つつつくた、の。たべ、て」
おかしいな、呂律が回らない。
「あ?」
彼はおかしなものを見るように眉を跳ね上げた。
「――いらねぇよこんなもん」
「ぁ……」
手を払われた。
弁当箱が地面を転がる。
せっかく作った中身が、ぶちまけられた。
「わっかんねぇ女だなぁ。普通こんなことされて弁当差し出す奴がいるか? 頭の中沸いてんじゃねぇのか?」
つまらなそうに耳の穴をほじっていた彼は、まあいいやと言葉を続けた。
「さっさと洗脳魔術かけちまうか。あー、早く○○○○してー」
彼の掌から魔方陣が展開される。
私は未だ呆けた頭でそれを
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