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好き勝手に生きる!
第三十四話「只今絶賛遭難中」
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「あぴゃー」


 自力で戻る術を持たない僕はあまりにも無力だ。


 そのまま風に身を任せるしかない僕はしばしの遊覧飛行を楽しんだ。





   †                    †                    †





 北欧の秘境、バルハラ。


 彼の地、ヴァルハラに因んで名づけられた土地は自然豊かで、澄んだ空気が満ちている。


 故郷であるこの地から出たことはないけれど、私――ロスヴァイセはこの地が大好きだ。


 この地で生まれた私はヴァルキリーとして大成し、勇者様と結ばれるのが昔からの密かな夢だったりする。


 私だけの勇者様。ピンチの時には颯爽と駆け付けてくれて守ってくれる。そんな人と結ばれるのがヴァルキリーの本懐であり、憧れであり、目標でもある。


 しかし、つい最近まで、その夢を諦めかけていた。


 ヴァルキリーに求められるのは容姿もさることながら、主神オーディン様の戦力としての価値である。オーディン様の先兵として戦場に赴く胆力、そして敵を打倒するだけの力を求められる。


 そして、立派なヴァルキリーになるには、ヴァルキリー養成学校で卒業する必要がある。


 養成学校は四年制であり、私は現在三年生。同級生は皆、二十歳のピチピチナの女の子。私は年下の十七歳だったりする。


 なぜ、私だけ歳が違うのか。答えは至極簡単で、飛び級したからだ。


 自分で言うのもなんだけど、頭の出来は悪くないと思う。本が好きだった私は幼少の頃から歴史書や哲学、魔術書など分野を問わず読み老けていたし。難解な学問書などに好んで手を伸ばしていた。さらには生まれ持った魔力保有量が人の倍以上あったという点も、飛び級に影響していると思う。


 人事部課長から直々のスカウトを受けた私は奨学金制度を紹介された。


 両親は幼い頃に事故で他界しており、家族はおばあちゃんのみ。あまり苦労を掛けたくない私にとって、この話は渡りに船だった。


 入学筆記試験では異例の歴代一位。魔力測定試験ではランクAを叩き出した。


 ヴァルキリー養成学校での飛び級は前例がなく、多くの人が私に期待してくれた。


「あなたはきっと、大成するわ」


 学園長直々にお言葉を頂いた。


「ライバル出現ね。年下だからって遠慮なんかしないわよ?」


 次期生徒会長にはライバル宣言を頂いた。


 多くの人が私に期待の眼差しを向けた。


 しかし、現実は――。




 ――私は、学園一の落ちこぼれなのだ。





 生まれ持った魔力は高いはずなのに、なぜか魔術を行使しようと
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