崑崙の章
第23話 「ご主人様を……一緒に守ろ?」
[14/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あとはもう、星の覚悟次第なのだ。
そう考えた矢先――扉を叩く音がした。
「ん? はーい、いるよぉ」
多分、朱里か雛里かな?
俺は扉を開けようとドアのノブ……取っ手に手をかけて、開く。
そこに居たのは……
「失礼しますぞ、主」
「星……って、おい!」
こちらの了承など関係なしに部屋に入ってくる星。
どういうことだろうか?
「星……えっと、どういう用なのかな?」
「どういう用か、ですと? これはまたおかしなことを」
「……は?」
人の部屋にずかずか入ってきて、用を聞いたらおかしな事?
「女が男の部屋に来る用など……決まっておるではありませぬか」
…………………………
「あー……あ、そうだ、俺、用事があったんだー」
「冗談です」
つつつ……と、扉に回りこむ星。
ちい……逃げ道を塞がれたか。
「はあ……星は相変わらずだな」
「お褒めに預かり、恐悦至極」
「褒めてねー……」
ジト目の俺と、素知らぬふりをする星。
そして、どちらともなく、プッっと吹き出す。
「ははは……で? 話があるんだろ?」
「ふふふ……はい」
そう言って、星はその場に跪いた。
その様子に、俺も真顔にならざるを得ない。
「先程は大変失礼を致しました。主に対して畏れを抱くなど……臣下としてあるまじきことでした。お許し頂きたい」
「いや……誰しも見たことのない業には、恐怖を抱くさ。実際、俺もやり過ぎたと思っているし……」
「いえ。あれだけ先に注意をされていたにもかかわらず……なおかつ、自身の真名にかけても誓った秘密に恐れ慄くなど、武人の恥辱。このお詫びは……」
星の言葉に、思わずきょとんとして……苦笑する。
「……星らしい、というべきかなあ」
「……そうでしょうか?」
「ああ。普段は飄々としている癖に、そういう律儀なところではガチガチになる。まったく……」
俺は、少し笑って手を差し出した。
「これからも力を貸してくれるのかい?」
「もちろんです。私の身命は、全て主のものです」
「……ありがとう」
俺の手を取る星。
初めて星に……俺自身が認められたような気がした。
「そういうわけで主……」
「ん? なんだい?」
「抱いてくださいませ」
ブホッ!
思わず横を向いて吹き出す。
な、なにを言い出すんだ!?
「せ、星!? なに言ってるんだよ!」
「おや? なにを焦っておいでか」
きょとんとした……マジできょとんとした顔でそう言う星。
その表情は、普段のように冗談をいうようなものでなく……本当にどうして? という顔だった。
「い、いや、だって……だ、抱いてく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ