崑崙の章
第23話 「ご主人様を……一緒に守ろ?」
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ほっん! 我が主の話が途中であります! 方々、少し弁えられよ!」
馬正の言葉に、シーンとなる謁見室。
いくつか恨みがましい目が馬正に集まる。
こういう憎まれ役も、年長者の勤めでもあった。
「では我が主、お話の続きをどうぞ」
「あ、ああ……ありがと」
盾二は、咳払いをしつつ、身を正した。
「ともあれ、荊州でのことは巴郡から華佗に中間報告で託していると思う。あれからおよそ一年経ってしまったけど……劉表殿はなんて言ってきている?」
「はい。盾二様がご不在のことは大変残念がられておいででしたが……当面は黄巾の残党や賊の討伐などでの共闘の誓紙を交わしました。また、盾二様がお戻りになられたら、必ずご一報申し上げると約束しております」
「そか……それならすぐにも戻ったことを知らせないとな。あのじいさん、意外にせっかちだし……」
「ご、ご主人様! 仮にも相手は荊州の州牧ですよ!?」
その相手を爺さんと気安く呼ぶ盾二に、慌てる関羽。
「あー……いや、まあそうだけどさ。猜疑心が強い割には抜けているところがあるというか……そういえば、桃香との橋渡しを頼まれていたっけ。桃香はもう本人には会った?」
「え? ううん。まだ会ったことはないかな。文官同士の話し合いはしているけど、直接こちらに来るのはご主人様が戻ってからって話だったし」
「そうか……俺に義理立てってわけでもなかろうし、なんで会うのを渋っているんだ?」
「いえ、盾二様にお願いしたのに、盾二様を差し置いてはお会い出来ぬ、とのことですよ」
「あ、あれぇ!?」
朱里の言葉に、思わず驚く盾二。
盾二自身の感覚では、すでに一年経っていることもあって、自分を除いた間でトップ同士の面識は済んでいると思っていたのだ。
「そんなに律儀な爺さんだったのか……ならすぐに俺から親書を書こう。桃香には是非、友誼を結んで欲しいしな」
「わかりました、すぐに手配いたします。後、西の劉焉様からも親書が来ております。こちらは巴郡の太守である厳顔という方の仲介でしたが」
「ああ、桔梗か……そちらも同盟と?」
「「「「「……………………」」」」」
「……? どうした、朱里……だけでなく、なんで皆まで睨むんだよ」
盾二が周囲を見ると、馬正と張飛を除く全員が半眼になっていた。
「……こほん。そうです。劉焉様から桃香様宛に同盟の話がありました。当面は劉表様同様、賊との共闘の条約文です。また、通商に関する話も出ていますが、街道の整備などもありまして現在のところはまとまっていません」
「巴郡との取引は、なによりも利になる。益州の成都は難しいとしても、巴郡との自由貿易だけは確保してくれ。ただし……」
「はい。じゃがいもに関しては高い関税をかけます。そうすれば向こ
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