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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
七十七話:アルカパの宿で
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正直不安なので、甘えたい気持ちはあるんですけど。
いい加減甘え過ぎなので、微笑んで言います。
「大丈夫だよ。ふたりがやっつけてくれたんだし。鍵もかけられるし、来ても私だって負けないし」
私の笑顔をヘンリーが微妙な顔で見詰めて、溜め息を吐きます。
「全然、大丈夫な顔してねえし。お前がどう言っても、今日は行かない」
大丈夫なのに。
こんなときに甘やかされると、とことん甘えたくなるから。
本当に、やめて欲しい。
「とりあえず髪、乾かせよ。本当に風邪引くぞ」
「……うん」
全くその通りなので、ひとまず髪を乾かして。
ヘンリーは勿論、スラリンも全くお風呂に行く気は無さそうなので、ふたりともキレイキレイして。
折角買ってきた品をどうこうしようという気も無く、早々にベッドに入ります。
「ヘンリー。ラリホーだけど」
「要らねえ」
そう言えば、耐性を獲得したんだった。
「いざと言うときに、起きられないと困るだろ」
そっちか。
そうだけど、眠れないのも困るだろう。
……ていうか、私が眠れるかなあ、今日は。
だからって、自分にラリホーかけるのも怖いし。
仕方ないか、一日くらい寝不足でも。
明日には移動するんだから、今日くらいは我慢しよう。
「ごめんね、ヘンリー。じゃあ、おやすみ。スラリンも、おやすみ」
ベッドを一緒にしようが宿代は同じなので、スラリンにもベッドがひとつ確保してあり。
眠れない私が添い寝したらスラリンまで眠れなそうなので、今日は添い寝も諦めます。
灯りを消したヘンリーが、しばらくその場に立ったまま私を見詰め、静かに口を開きます。
「……眠れないなら。添い寝、してやろうか?」
「はあ!?」
あくまで静かに言い放ったヘンリーに、思わず大声を上げる私。
そんな、十年前でもあるまいし!
「いや、それは、さすがに。不味いでしょ」
「大丈夫だろ。何もしねえし」
いや、だって。
中身何歳か知らないけど、十八歳でしょ、その体。
我慢も、キツいんじゃないの?
相手が私とは言え、体は美女ではあるんだし。
一晩何もしないで添い寝とか、どう考えても大丈夫では無さそうな。
「大丈夫だよ。何かしようとしても、お前のほうが強いだろ」
それはそうだが、そういう心配をしてるわけでは無いんだが。
「大丈夫だから。じゃ、寝るぞ」
えええ!?
十年ぶりの、押し売りですか!?
どうしよう。
絶対に断るべきなのに、なんだかもう。
甘えたい。
絶対に甘えたくないのに、ヘンリーが、甘やかすから。
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