第二十八話 当代無双の名将? 誰の事だ?
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震が来る前に小さな地震が連続して起きている様なものだろうか……。
「ところで次期皇帝はどなたに?」
興味本位で訊いたのではない、次の皇帝が誰かは軍の体制にも影響する。事前に知っておかなくてはならない。リヒテンラーデ侯が口に出すのをちょっと躊躇う様なそぶりを見せた。
「エルウィン・ヨーゼフ殿下を、そう考えている」
侯が私とシュタインホフを見ている。
「外戚達に帝国を委ねる事は出来ん、そうなれば我らは終わりだ」
当然そうなるだろう。退役出来れば良いがそれも危うい。あの馬鹿げた二つの事件、クライスト達の命令違反とヴァレンシュタインの襲撃事件を思えば分かる。理性など欠片も無い連中だ。
「それにあの連中に帝国を委ねたら悲惨な事になるだろう。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯、あの二人には貴族達を押さえる事など到底出来まい、むしろ野放図に増長させるのがオチだ。それがどれだけ危険な事かあの連中には分からんのだ。軍人である卿らなら分かるだろう?」
当然だ、今や軍の指揮官達は爵位を持つ貴族よりも平民、下級貴族が主流なのだ。その良い例がヴァレンシュタインであり彼が編成した宇宙艦隊だ。平民達に不満は持たせても怒らせる事は出来ない、彼らを宥めながら帝国を運営していかなければならないのだ。
「となると宇宙艦隊司令長官の人事は如何します? 陛下がお亡くなりになられた以上、グリンメルスハウゼンをその地位に就けておく必要は有りません。本人も辞任を望む可能性も有ります」
私が問い掛けるとリヒテンラーデ侯が“そうか、それが有ったな”と呟いた。
「内戦になる可能性が有ります、いや内戦になるでしょう。勝てる指揮官が必要です」
「ヴァレンシュタインかメルカッツ、あるいはクレメンツですが……」
私とシュタインホフ元帥が言うとリヒテンラーデ侯が顔を顰めた。
「あれは平民であろう、メルカッツは知っているがクレメンツというのは何者かな?」
「グリンメルスハウゼン元帥府に所属しています。艦隊司令官の一人ですが彼も平民です」
私の答えに侯の渋面が更に酷くなった。やはり平民を司令長官にというのは抵抗が有るようだ。まあ私も出来れば避けたい。それはシュタインホフ元帥も同様だろう。
「ではメルカッツですか、しかしやり辛いでしょうな、総参謀長がヴァレンシュタインでは……」
シュタインホフ元帥の意見に同感だ、どうにもやり辛いだろう。
「その事だがあれを宇宙艦隊から外す事は出来ぬか、いささか力を持ち過ぎたと思うのだが……」
執務室に沈黙が落ちた。三人が何かを窺うように顔を見合わせている。
「内戦が迫っております。反乱軍は今回の暴挙で大きな被害を受けたとはいえ油断は出来ません。早期に勝利を得ようとすればあの男の力が必要ですが……」
「当代無双の
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