第二十八話 当代無双の名将? 誰の事だ?
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。同盟軍全体の三分の一に相当する。途方も無い数字だ、眩暈がした。
「キャゼルヌ先輩、帝国軍はどうもこれまでの帝国軍とは違うようです」
「違う?」
俺が問い返すとヤンが頷いた。
「ええ、司令長官がミュッケンベルガー元帥からグリンメルスハウゼン元帥に変わりました。それに伴って艦隊司令官も代わったのだと思います。そうでなければいくら補給が苦しいからと言ってこれ程までに一方的にやられるとは思えません」
「ヴァレンシュタインか?」
「おそらくはそうでしょう。この日のために精鋭部隊を集めたのだと思います。これからの同盟軍は彼らを相手にする事になる。厄介な事になりそうですよ」
憂鬱そうな表情だ、だがそれが事実なら……、溜息が出た。
オスマン総参謀長がドーソン司令長官に意見具申をし始めた。
「閣下、第二艦隊、第七艦隊は降伏し第三艦隊はルフェーブル中将を失い事実上艦隊としての統制を失いました。その他の艦隊も帝国軍の攻勢の前に多大な損害を出しつつ後退しています。小官はこれ以上の戦闘継続は不可能と判断し撤退を進言します」
ドーソン総司令官の顔が引き攣った。
「撤退など認めん! 艦隊を分散させ過ぎた、アムリッツアに集結させろ、アムリッツアで決戦だ!」
馬鹿か、お前は。分散させたのはお前だろう。お前が味方を殺しているんだという事を少しは反省しろ!
「閣下! 今でさえ遠征軍は三割を超える損害を受けているのです。戦える艦隊は五個艦隊、しかも疲れ切り損害を受けた艦隊です。帝国軍は最低でも八個艦隊を動員しています、到底勝てる相手ではありません。このうえ敗北すれば同盟の安全保障に大きなダメージを与えるでしょう。無念ですが捲土重来を期して撤退するべきです」
オスマン総参謀長が頬を紅潮させて言い募った。総参謀長もこの馬鹿には相当頭にきているらしい。
「駄目だ! アムリッツアで決戦するのだ!」
眼は血走り、身体が震えている。まともな判断が出来ているとは思えない。総司令官がこれでは戦っている将兵が哀れだ。ヤンが溜息を吐いた。仕方ない、俺も手を貸そうか、逆効果になるかもしれんが後に続く人間が出てくる可能性も有る。総参謀長に近寄った。
「小官も総参謀長の意見に賛成です、撤退すべきです」
「貴官の意見など必要無い! どうせ補給が無いと言うのだろうが武器弾薬は有る、戦える筈だ!」
この馬鹿、兵を飢えさせたまま戦うつもりか? どうにもならんな。
「足りないのは食料だけではありません、遠征軍は医薬品も不足しています」
「何?」
ドーソン総司令官がキョトンとした表情を見せた。
「住民達は医薬品も欲しがったのです、各艦隊は彼らに医薬品も供給しました。どの艦隊でも医療班は怯えているでしょう、そのうち負傷者に投与する医薬品が無くなると、このまま
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