時宮遭遇
Trick48_そんな血筋だと知ったのは1年ほど前です
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たが、窓から入る夕陽が影を作り彼女の表情を深く読み取ることはできなかった。
氏神ビルのロビーから外に向かう。
自動ドアのガラスから見える景色は夕陽色に染まっていた。
「こりゃ、早く帰るだけでなく言い訳も考えないとな」
美雪に内緒で信乃は出掛けていた。
学校を休んで信乃の看病をしていた美雪だが、今日が終業式と言う理由で
信乃が説得し、学校へと行かせた。
1週間近く休んでいた為、連絡事項や手続きなどで遅くなるだろう。
その前に帰らないといけないが、勘のいい美雪には信乃が出掛けたのは気付かれているかもしれない。
だから出来るだけ機嫌取りを考えながら足を進めた。
「さて、と」
外に出る前に信乃は意識を集中させる。
魂感知能力
それは“死神”と呼ばれている一族が使えるスキル。
信乃が学園都市に来る前の旅の途中で出会った男から教えてもらった技術だ。
この技術は魔力を使う訳でもなく、超能力に区分されるものでもない。
完全なる人間の持つ力で使用するスキルだ。
故にそういった方面でも才能が皆無の信乃でも使え、こと状況判断が必要な場面では使い勝手が良かった。
今もいつものように建物から出るという狙われやすい状況では癖として発動させる。
「ん・・・?」
違和感がある魂を見つけた。
別に自分を監視しているわけではないだろう。
変な魂があるのは1kmほど先。
場所は複数の建物郡の向こう側、自分の記憶の地図が正しいのであれば路地裏だろう。
かなりの透視能力者でもない限り監視ができない状況だ。
むしろ数km先から望遠鏡で覗いた方が確実かつバレないだろう。
と言う事は男が信乃の感知範囲にいたのは偶然。
信乃へ敵対の為に配置した人間ではない、はずだ。
では対処はどのようにするか。
見つけた人物は“違和感”がある程度。
“敵”というわけでもなく、魂の異常に“確信”がある訳ではない。
更に、現在の信乃は怪我を負っている。
無理をすればA・Tを使えるが、良くて中級者程度だ。
立ち回れて、戦えるとは言えない。
更に今持っているA・Tは調律すらしていないド・ノーマル仕様。
そのマイナス要素の中、信乃が出した結果は“向かう”であった。
信乃が学園都市に来たのは“ハラザキ”と相対するため。
だが、ハラザキが直接に関わっている事件にはあまり遭遇率が低い。
学園都市の理事の力を借りても未だに影の端しか見えない。
だから僅かな可能性でも賭けてみるしかないのだ。
氏神ビルから近い路地裏へと自然に入り、早々にA・Tを装着する。
「それじゃ、当たりでありますように」
足の症状が悪くならない程度の速度で、しか
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