暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
そして英雄達は………
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今まで超速の戦闘に慣れきっていた二人だから、だからこそ動けなかった。

動くことなんて、できなかった。

しかし、レンのやった事と言ったら非常に馬鹿馬鹿しく、そして非常に単純なことだった。

届くはずもない二人に向かって切っ先を向かって、これまた緩い動作で突くような動作をしてみただけ。ような、という言葉から分かるとおり、ただのお遊び、おままごと。

その行動に、やっと己の時を取り戻した二人が眉をひそめる。

しかしその内の一人、リョロウの眼が一杯に見開かれる。

隣のセイが、怪訝そうにこちらを見るが、その眼もまた同じように見開かれる。

リョロウの目線は、ゆっくりとレンから離れて下に行き、そして────自分の体を見た。

「……………な」

リョロウの目は捉える。はっきりと、これ以上ない真実を見る。

自分の髪、鼻、口、あご、首、胸元、そして────



()()()()()()



リョロウの胸元から下は、初めからそこに何もなかったかのように何もなかった。

痛みを伝える神経までごっそりとなくなっているので、異常な喪失感がリョロウの脳裏を支配する。

これ以上いくと零化現象(ゼロフィル)が起こる、というところで突如、リョロウの身体をどこからともなく現れた水しぶきが覆った。

駆け寄ろうとしていたセイが、すんでのところで急制動をかける。

水しぶきは一瞬で消え去り、後に残されたのは薄い水色をした青い炎。

命の残り火(リメインライト)

煌々と燃えるそれを数秒間放心したように眺めていたセイは、ゆっくりと、言葉を切りながらこちらを向いた。

「それが……、君の《神装》かい?レン君」

それを聞き、レンは笑う。

残酷に

凄惨に

焼け爛れたように、嗤う。

「先に言っておくよ、セイにーちゃん」

「…………何?」

「コレの攻撃は、セイにーちゃんには止められない」

「……だろうね」

「避けられもしない」

「だろうね」

そんな会話をしながら、セイは見る。今も漂うリョロウのリメインライトのすぐ後ろ。

大木が密集するそこに、絶対に先刻まではなかった大きな穴が口を開けていた。見たところ直系五メートルと言ったところか。

今だからわかる。リョロウを襲った攻撃は、ソレのたった一部分だったということが。

「切っ先の延長線上に存在する何物をも関係なく《貫く》。………いや、違うか。《喰らう》かな?」

セイのその質問に、レンは答えない。

答える必要など、ないと言わんばかりに。

その代わり、短い一言を言う。

「それじゃあね」

それに、セイも短く返す。


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