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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
そして英雄達は………
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顕現させることなどできはしない。
リョロウの鋭い突きが大木の幹を穿って、木陰に倒れこむようにして呼吸を整えていたレンの頭部右四十センチのところから飛び出した。
「…………ッッ!!」
ぶわっと冷や汗が噴き出す。
───まだだ!あと……、あと少しッ!
転がるようにして回避行動を取る。体勢を立て直すために多少無理な体勢でも足に力を込め、《地走り》を発動させた。
現在のレンの《地走り》の最大移動距離は約二百メートル。走るというより見ている者からすれば空間と空間という点と点の間を《跳ぶ》と言うのが正しい《地走り》だが、弱点がまるでないという訳ではない。
使用自体はSAO時代とは違って失敗なく出来るようになったのだが、使用後は極端に体勢が崩れる可能性があるのだ。
対テオドラ戦では幸いなことにそんなことはなかったのだが、今みたいに頭を
別
(
・
)
の
(
・
)
こ
(
・
)
と
(
・
)
に使っている時は当然のようにそのリスクの可能性は高まる。
だからレンは、《跳んだ》先の苔むした地面に着地した途端に、身体の重心がズルリとずれて派手にすっ転んだ。
幸いながらも下はふわっとしていて、顔面を強打してもたいして痛くはなかった。
口の中に一杯に溜まった黄緑色のコケを悪態とともに吐き出しながら、レンはゆっくりと立ち上がった。
ちらり、と右手のひらを見ると、そこには漆黒の過剰光がゆっくりと寄せ集まってきているところだった。
「まだ……か。意外と難しいな」
手をぐーぱーしながら呟いたレンは、周囲を見回した。
全力で《跳んだ》から、最低でも二百メートルは引き離したはずだ。しかし、方向も何も考えなかったからここが森のどこなのか分からない。
周囲に広がる梢の闇は、広がるばっかりでその深奥をまるでこちらに見せない。虫のさざめきは、度重なる戦闘音にすっかり怯えてなりを潜めていた。
上を見上げると、幾重にも重なった枝葉の隙間から綺麗な星空が垣間見えた。墨汁をぶっかけたような気持ちのいい夜空に、砂粒のような星々が我よ我よと争うように力強く、しかし儚く輝いている。
詰めていた息を一度吐き出して、レンは肩の力をゆっくりと抜いた。
萎えていた手足に力が戻ってくる。報酬を要求していた臓器は、やっと与えられた休息に身をよじるほどの歓喜の声を上げている。
と、レンの種族ケットシーの特性でもある鋭い聴覚が、遠方より響いてきた足音を捉えた。
舌打ちをし、再び四肢に鞭打って立ち上がる。
頭が立ち眩みの時みたいにぐらりとし、鈍痛が走るが、何とか持ち堪えて足をしっかり踏ん張る。
そんな、今にも倒れそうなレンの前には────
「さぁ、レン君。時間だ」
「覚悟はできたかい?」
矛と棍(こ
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