暁 〜小説投稿サイト〜
ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
七十六話:ひとりでお買い物
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 息を切らしてハアハアしてるのが別の意味に思えてとても気持ち悪いナンパ男改め変態が、ヘンリーに向かって声を荒げます。

「コイツの連れだ。何のつもりか知らないが、コイツにちょっかいかけるのは止めて貰おうか」

 ああ、なんという、圧倒的安心感……!!
 ヘンリーひとり挟んだだけなのに、もう何も怖くない的な。

 ヘンリーの宣言に、変態が激昂します。

「お前にそんな指図をされる筋合いは無い!その娘は、オレが十年前にドーラちゃんに感じた以来の、運命を感じた娘なんだ!邪魔するな!」

 ああ、名前も覚えてやがりましたか。

「……ドーラ?……知り合いか?」
「モモを、虐めてた。悪ガキの片割れ」

 ヒソヒソと聞いてくるヘンリーに、私もヒソヒソと返します。

「……名前は、伏せたほうがいいな」
「うん。ここはリュカで」
「恋人のフリでいくか」
「それで」

 顔を寄せ合い、ヒソヒソと作戦会議をする私たちに、変態が苛立った様子で歩み寄ってきます。

「おい!彼女から離れろ!」

 近付く変態に怯えた風を装い、これみよがしにヘンリーに抱き付きます。

「やだ、怖い!ヘンリー、助けて!」
「大丈夫だ、リュカ。俺が付いてる」

 震えながら縋り付く私を熱っぽくも優しい眼差しで見詰め、抱き締めるヘンリー。
 全く、赤くもなってませんね。
 ここに来て、耐性を獲得したのか。
 演技力でカバーでもされてるのか。

 仲睦まじい私たちの様子を目の当たりにして、変態が衝撃を受けたように立ち竦みます。

「そんな……オレの……運命の、娘が……他の、男となんて……」

 下手に声をかけるといいように勘違いされかねないので、あくまでヘンリーだけを見詰めて演技を続けます。

「ヘンリー……ホント?ホントに、付いててくれる?」

 不安と期待で揺れる眼差しで、ヘンリーを見詰めます。

「ああ、当たり前だろ」

 力強く包み込むような眼差しで、ヘンリーが応えます。

「嬉しい!ヘンリー!ずっと、離さないでね?」

 今にも涙が溢れそうに潤んだ瞳で、輝く笑顔を見せます。

「ああ!絶対に、離さない!愛してる!」

 強い熱情を含むヘンリーの答えを受けて、感極まったようにひしと抱き合います。

 しかし私もだが、ヘンリーの演技力も大概高いなあ。


 一連の流れを呆然と見ていた変態がわなわなと震え、叫び出します。

「う……うわああああーー!!嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だーー!!」

 絶叫の後、走り去る変態。

 はあ、やっと片付いた。

 溜め息を吐き、脱力してへたり込もうとしたのをヘンリーがきっちり支えてくれて、胸にもたれかかって頭を預ける形になります。


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