第85話
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も大事な事なのか?」
「大事だ。」
ただ一言、そう答えた。
それを聞いた竜也はほんの少しだけ黙ったが、やがて声が聞こえる。
「即答するくらい、大事な事なのか。
分かった、何をするかは分からないが行ってこい。
私は秋葉と二人でこの学園都市を観光する事にするよ。」
「ありがとう、父さん。」
電話を切り、麻生は寮を出て行く。
目指すのは第七学区のとあるホテルだ。
麻生との電話が終わり、竜也は携帯をポケットに入れる。
「何かあったのですか、竜也さん。」
「えっ?どうしてそう思ったんだ?」
「だって、竜也さんのお顔、とっても嬉しそうでしたもの。
それは何か良い事があったのだ、顔を見れば分かります。」
竜也は自分の顔が映っている近くの店のガラスを見る。
心なしかにやけているように見える。
「それで電話の相手は誰ですか?」
「恭介だよ。」
「まぁまぁ、それはお顔もにやけてしまいますわね。」
「あいつ、私達が見ていない内に大きくなったよ。
姿だけじゃなくて、心もな。」
「強くなって当然ですよ。
だって、私とあなたの自慢の子供なんですから。」
以前の麻生ならこうやって電話なぞかけてこなかっただろう。
何があって麻生をあそこまで変えたのかは分からないが、良い方に変わったので何も心配ない。
「内容がだ、今日は大覇星祭は出場できないらしい。」
「まぁ、どうしてですか?
まさか、怪我でも!?」
「落ち着きなさい。
怪我ではない何か用事があるから行けないと言っていた。」
その言葉を聞いた秋葉は心から安堵したような表情をする。
竜也はその場に止まり、空に浮かんでいる雲を見つめる。
「何の用事かは分からないが。
けど、恭介があれだけ即答するんだ。
何も心配の失礼はないさ。」
「そうですか・・・・・・・・えいっ!」
可愛らしく声をあげると、秋葉は隣にいる竜也の腕を抱きしめる。
「なら、久しぶりにデートでもしますか?
二人だけで。」
「私も同じことを考えていた。
よし、なら行くか。」
竜也は自分の腕を掴んでいる秋葉の手を自分の手で重ね、握りしめる。
秋葉はその行為を見て少しだけ顔を赤くする。
二人は並んで、楽しそうに学園都市の中を回っていくのだった。
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