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流星のロックマン STARDUST BEGINS
星屑の覚醒
11 帰還の代償
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「じゃあ次、殺した理由は分かってるから、あなたが病院を抜けだしてから1週間、何をしていたの?」
「.....どうでもいいじゃないか、そんなこと」
「どうでも良くないわ。肘の軟骨が磨り減り、全身筋肉痛、内臓の一部が損傷してる。まさか山に篭って修行してたとか言わないでしょうね?」
「....それでいいや。大体そんな感じだよ」

彩斗は『紺碧の闇』の事を言うことができなかった。
どんな組織なのかは分からないが、自分の太刀打ち出来るような相手ではないと分かっていたからだ。

「直接聞かないで、僕の脳の記憶でも探ればいいじゃないか?この施設にはその手の実験装置があるはずでしょ?」
「...出来るならそうしたいけど、あなたの脳波は常に周囲の物体や人間にシンクロして一定じゃないから、サイマティクス・スキャンは無理」
「そうかい」

彩斗は顔色を変えぬようにしながら振る舞う。
ハートレスはもう彩斗には答える意思が無いことを悟り、溜息をつくと腕時計を見た。

「あと、一つ残念なお知らせ。15、14、13、12....」
「?」

ハートレスはカウントを始めた。
彩斗は枕元にあるデジタル時計を見た。
現在時刻は10月27日午後3時21分49秒。
ハートレスのカウントをただ秒メモリが進んでいくのだけで確認をする。

「3、2、1、0」

「!?うっ!?」

カウントが0になり、時刻が22分へと移った。
その瞬間、彩斗の頭に一瞬の頭痛と目眩が襲い掛かる。
視界が歪む。
メモリが完全に歪み、もはや人語とは思えない形へと変化した。
そして徐々に歪みは収まっていく。
だが確実な変化があった。

「色が...変わった?いや...違う...まさか」

彩斗の視界にはオレンジ色の電波の流れは見えなくなっていた。
どちらかと言えば青みが増した感じだった。
このことは彩斗に1つの結論を伝えていた。

「あなたはムーの力を失った。もう電波を見ることも、マテリアライズも出来ない。シンクロが出来るだけのタダの人間よ」
「....どうして?」
「そんなの、昨日の晩を思い出しなさいよ。『ベルセルクの剣』なんて代物をマテリアライズしたせいで力が逆流し.....電気回路でいうところのショートを起こした」

彩斗は何処か解放感を得ていた。
今思えば、今まで自分が普通の生活が出来なかったのは、この人並み外れた力のせいだった。
自分は普通でない。
そう思うことで自分から人との関わりを避ける原因でもあった。
ハートレスは何処か笑顔のような彩斗を見ながら冷たく言い放った。

「そんなこと、自分で考えなさい」






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