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オリ主達の禁則事項
神様の事情と裏の理由
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ませられた世界にも命はある、生活がある…それらを誰より見捨てられないのが大母神だ。

『本当なら私自らがやるべきことなのに…結果として貴方を私の我儘につき合わせてしまっているわ…』

 欲望に負けた神の過ちを正すのが…秋晴の役目だ。
 暴走したオリ主を止める術は該当世界の人間にも神にもない。
 唯一の例外が、同じように“神に力を付与された人間”…これ以上の悲劇を止めるため、大母神が定めた世界崩壊につながる禁則事項…それに違反したオリ主を捕まえ、本来の輪廻に戻すそのために大母神が選び、“いくつかの力を授けた”人間…秋晴は大母神が選んだオリ主なのだ。
 
「俺は自分で毒を制すための毒になる事を選んだんです。もう俺の世界みたいなのは嫌ですから…」

 そう言って…秋晴は儚く笑う。
 その笑みに大母神は何時も心を打たれるのだ。

 秋晴のいた世界は何処にもない。
 心ないオリ主が自分の欲望を優先させ、好き勝手にふるまったせいで衰退し、崩壊した世界において、秋晴は最後に生き残った人間だった。
 崩壊の後に再生した世界はあるが、秋晴のいた世界とは似ているだけの別の世界である。

『秋晴、貴方は私達神を恨まないのですか?』
「はは、その質問も何度目ですか?まあ一時期はそんな事もあったようななかったような…でもオリ主全員がそうってわけじゃない事も知りましたし…まあ今回のような馬鹿は徹底的にやりますよ。潰してから輪廻に戻します」
『秋晴…あ…』

 尚も声を掛けようとした大母神が何かに気づいた。
 それが何かを問うまでもなく、予想のついた秋晴が薄く笑った。

「仕事…ですね?」
『ええ、魂が一つ、世界を渡った気配がしたわ、戻って早々悪いと思うけど、行ってくれるかしら?』

 大母神は命令しない。
 その神格と存在を考えれば、秋晴に顎で指示してもいいはずなのだが…彼女はいつもお願いの形をとる。
 決して秋晴に強制はしない…秋晴が拒否すれば役目からの解放だって受け入れる…それが秋晴を彼自身が嫌う存在とする時に決めた彼女なりのけじめだ。
 もはや慣れたやり取りだが、未だに続いているこのやり取りが、秋晴は割と気に入っている。

「それじゃあ行ってきます」
『ええ、子供(神)の事は任せておいて…きっちりしばいたらあ…』

 さっそく怒れる母親モードに入った大母神に背を向け、秋晴は歩き出した。
 そうやって、自分が主人公になる世界を持たない…失ってしまった英雄は…今日も馬鹿を殴って世界を救う。




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