第五十一話 上からの返事その七
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「決してです」
「そうですか。では私の今の相手は」
「私です」
高代は自分から言った。
「それで宜しいでしょうか」
「二人一度に。しかも楽に倒せなかったことは残念ですが」
「それでもですね」
「貴方を倒しましょう」
「そうされますね」
「はい、それでは」
こう話してだった。高代は前に出た。そうして権藤と加藤を背中に置い背中越しにこう告げた。
「逃げられないのですか」
「私達を逃がすのか」
「好意ってやつか?」
「好意ではありません」
それは否定するのだった。
「ただ戦わないだけです」
「では礼を言う必要もないか」
「最初から言うつもりもないがな」
「そうしたことは最初から求めてはいません」
高代も求めてはいない、二人共敵同士だと割り切っている。
それでこうも言ったのだった。
「今度会った時は戦いますから」
「そういうことか。それではだ」
「帰らせてもらうな」
二人は高代の背中を見ながらこうそれぞれ告げた。そして。
二人はそのまま消えた。後には何も残さなかった、そして戦場に残ったのは別の二人だけとなったのだった。
高代はスペンサーと対峙していた、その中で。
高代は自身の剣を構えこうスペンサーに告げた。
「ではjはじめましょう」
「そうですね。しかし貴方は」
「何でしょうか」
「見たところよい方ですね」
今は戦えない権藤、そして加藤には一切攻撃しようとしなかったからだ。そのことからこう彼に言ったのである。
「心が整っていますね」
「教師ですので」
「そうしたことはしない」
「戦うのなら戦える相手と戦います」
戦えない相手にそれはしないというのだ。
「決して」
「教師だからですか」
「私は私の理想の学園を築きます」
己の目的のことも語る。
「そうならば決してです」
「絶対にですか」
「そうした。私の教育に反することはしないです」
「貴方の教育方針とは」
「常に正々堂々と。そして抵抗できない相手に手を振るってはならない」
これだというのだ。
「無法な暴力はあってはなりません」
「暴力を否定されるのですか」
「それは違います」
否定はしなかった。
「確かに私は暴力は嫌いですが」
「お嫌いなら」
「暴力は嫌いですが否定はしません」
こうスペンサーに言うのだった。
「それは世の中にどうしてもあるのですから」
「しかし無法な暴力はですか」
「そうしたものも法律でコントロールされなければなりません」
理性的な言葉だった。
「軍事力や警察と同じく」
「では武力ですね」
「そう呼ぶかも知れません。ですが何はともあれ」
「貴方は暴力は否定されませんね」
「そして戦います」
それも行うというのだ。
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