第六章
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その時ふとだ、僕はこう言った。
「楽しいね」
「楽しいか?」
「うん、楽しいよ」
リチャードにも言った、この言葉を。
「この国はね」
「そうか、そう言ってくれるか」
「いいね、海は綺麗で食べ物もお酒も美味しくて」
「夜も楽しいだろ」
「うん、まさに地上の楽園だよ」
「底抜けに明るい国だろ」
「レゲエもいつもかかっていてね」
噂には聞いていた、けれど噂以上だった。
「いい国だね」
「そうだろ、じゃあな」
「それじゃあ?」
「夜はどうしようか」
リチャードもバーベキューを食べている、牛肉にソーセージに野菜だけじゃない、魚まで一杯ある。それを食べながら僕に夜の話をしてきた。
「今夜こそ行くか?」
「可愛い女の子の店にだね」
「ああ、そうするか?」
「そうだね」
僕はリチャードの言葉に考える顔になった、そしてだった。
彼にだ、こう返した。
「気が向けばね」
「そうするか」
「夜にならないとわからないよ」
その時の気分次第だった、こうしたことは気が向かないとどうにもならない。
恋もそうだ、だから僕はこうリチャードに言った。
「その時に決めるよ」
「そうか、じゃあどの店がいいかホテルの人に聞いておくな」
「ホテルの人が知ってるかな」
「ホテルマンが知ってるのは表だけじゃないんだよ」
裏もだというのだ。
「そっちもだからな」
「ああ、観光地は表も裏もあるから」
「そうさ、だからな」
「そっちのことを聞くんだね」
「そうするさ、それじゃあな」
「うん、じゃあそのことは任せていいから」
「任せてくれよ、絶対に見つけてくるからな」
リチャードも笑顔で応えてくれた、そしてだった。
僕達は昼は食べて泳いで遊んだ、そうして夜は。
前の夜とは違う店で今度はフルーツをかなり食べた、この夜は魚にパスタといったものを口にした。けれどカリブの魚は。
「何かね」
「口に合わないか?」
「鱈や鮭とは全然違うから」
フイラデルフィアでよく食べるそういった魚達とは本当に違う、食べ慣れたそうした魚とは全く違うからだった。
「何かね」
「まずいか?」
「まずくはないけれど」
それでもだった、どうにも。
「違うね」
「そうか、まあそれは仕方ないな」
「肉の方がいいかな」
僕的にはだった。
「そうした方がね」
「じゃあ他のを食うか?」
「いや、このままでいいよ」
その熱帯の魚をソテーにしたものを食べながら答えた。
「これはね、それとだけれど」
「今度は何だよ」
「この国はサラダが多いね」
実は毎食食べている、昼もバーベキューの横にあった。
「アメリカよりもね」
「ああ、ここはそうなんだよ」
「やっぱりそうなんだね」
「アメリカにいたらファー
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