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さらばジャマイカ
第一章
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             さらばジャマイカ
 傷心旅行、まさにそれだった。
 彼女が他に彼氏を作って別れを切り出してきた、後に残った僕は最初何をしていいのか全くわからなかった。
 その僕にだ、親友のリチャードはこう言ってきた。
「ミッキー、それじゃあな」
「それじゃあって?」
「俺は自殺しない様に目付で行くからな」
 いつもの面白くないジョークを飛ばしながら僕に言って来る、屈託のない笑顔で。
「旅行に行くか」
「旅行?」
「ああ、有給を取ってな」
 それでだというのだ。
「何処かに行くか、心の傷を癒しにな」
「旅行ねえ」
 そう聞いてだ、僕は。
 首を捻ってからリチャードにこう答えた。
「それがいいか」
「このまま仕事に打ち込んで忘れられるか?」
「忘れられたら落ち込んでないね」
 僕は彼に答えた、今は仕事の合間の休憩時間だけれどそれでも正直かなり落ち込んでいる。まだまだ忘れられない。
「まだね」
「そうだろ、じゃあな」
「旅行に行ってそれでなんだ」
「忘れないか?」
「うん、けれど」
「行く場所だよな」
「問題はそれが何処かだけれど」
「そんなのもう決めてるさ」
 リチャードは笑って僕にこうも行って来た。
「とっくにな」
「用意がいいね」
「ジャマイカな」
 そこだというのだ。
「そこに行こうな」
「ジャマイカか」
「いいだろ、ここは寒いからな」
 フィラデルフィア、僕達のいる街は確かに寒い。冬なんかは外で寝ていると凍死してもおかしくない位である。
 その寒いフィラデルフィアからだ、暑いジャマイカにだというのだ。
「そこに行こうな」
「ジャマイカか」
 僕はジャマイカと聞いてまた考える顔になった、それでこうリチャードに言った。
「話は聞いてるけれどいい場所らしいね」
「一回行ったことがあるんだよ、海も女の子も綺麗でな」
「英語も通じるね」
「そうさ、しかも酒も果物も美味い」
「まさに最高のリゾート地だね」
「だからな、どうだよ」
 リチャードは明るい笑顔で僕に勧めてくる。
「ジャマイカでな」
「よし、それじゃあ」
 僕はその誘いに乗ることにした、そしてだった。
 二人でジャマイカに行くことになった、リチャードは目付という口実だtったが僕を気遣ってのことなのはわかる、その心遣いが有難かった。
 二人で有給を取ってそのうえでジャマイカに旅立った、冬のフィラデルフィアからそこに飛行機で向かった。
 わかっていた、けれど冬のアメリカから入ったその国はまるで別世界だった。
 熱帯の植物に薄着、青い空に黄金の日差し、そのどれもがだった。
「何かもう別世界に来たってね」
「そう思えるよな」
「いや、凄いね」
「そうだろ、俺も最初に来た時はな」
 どうかと
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