第18話 「舞台にすら立たせてやらない」
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ど、妙に引っかかる。こういうのってあるよね。
■宰相府 クラリッサ・フォン・ベルヴァルト少尉■
自分が宰相閣下の護衛として、宰相府にやってきてから早いもので、もう五日になります。
近くで見る宰相閣下は、想像していたのとは少し違いました。
鋭利な刃物のような方だと思っていたんです。頭が良くって、鋭い感じ?
ですが実物の宰相閣下は、よく冗談を言うし、出入りしているジークフリード・キルヒアイス君をよくからかいもします。
強気で明るくて楽しげで。……そして少し寂しげなところがおありになります。
皆さんがお帰りになった後、ときおりお一人で残られたりするんです。
そういう時は決まって書類を見つめてため息を漏らしています。自分が顔を出すとしらっとした表情に戻られますが、ずいぶん悩んでいるようでした。
やはり帝国宰相閣下ともなると悩み事も多いのでしょう。
「ふふん」
「がるるー」
何を揉めておられるのかは存じませんが、アンネローゼ様とアレクシア様は、よく言い争いをなされます。
お渡りが無いと漏らされますが、宰相閣下がお二人の下へお渡りになられない理由がなんとなく分かります。きっと、気が休まらないからでしょう。
こうしてお二人が騒いでいるところを、ご覧になるのは楽しいのでしょうが、二人っきりの時でさえ、同じように騒がれてはたまらない。そう思われているのではないでしょうか?
うまく行かないものです。
マルガレータさんやエリザベートさんはショタですし。
よくラインハルトくんの写真を見ては、ため息を吐いています。ラインハルトくんはアンネローゼ様の弟らしいのです。よく似ておられますが……ですが、分からないのはマルガレータさんが見ているラインハルト君の写真は、女の子のようです。
いったいどうなっているのでしょう。
謎です。
エリザベートさんはジークくんに構いたがりますし、嫌そうにしているジークくんが気の毒になりました。
でも、ジークくんはマルガレータ・フォン・ヘルクスハイマー様をかわいがっております。
仲が良いんですよ。
宰相閣下は微笑ましそうになさっていますし。いずれはジークくんにマルガレータ様を下賜されるかもしれませんね。
ジークくんは平民で、マルガレータ様は伯爵家ご令嬢ですが、宰相閣下のお声があれば、大して問題にもなりません。この年から宰相府に出入りを許されているのです。将来有望な少年です。
あっ、宰相閣下が時計を気にしておられます。
誰かとのお約束があるのでしょうか?
「ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ。入ります」
よく言えばラフ。悪く言えば雑な格好をした男性が入ってきました。
宰相府の事務局にいるシルヴァーベルヒさんです。
よくもまあ宰相
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