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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第四十九章 その意志の強さ《2》
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女を救い出すのは自身ではないのだから。
 自身に言い聞かせ、セーランは問う。
「なあ、辰ノ大花の皆。宇天長が救われてほしいって思ってんのかな」
「そうに決まっている。だが、相手はあの黄森だ。逆らえば、どうなるか分からない。家族を守るか、彼女を守るか。皆、苦しんでいるんだ」
「ならよかったわ。ちゃんと皆、自分の守るべきもの分かってるんだな」
 そう言い、セーランは東へと身体を向けた。
 戦場の声が先程よりも強く聴こえるようになり、戦況の動きを感じた。
 時間は限られている。
 今から向かわなければ、結界のこともあるし、間に合わないかもしれないのだ。
 それを理解した八頭は、右手から刀を離し、懐から一本の短刀を取り出した。
 刃には鞘が無く、代わりに布が巻かれていた。
 布には何やら文字が書いてあるが、布ににじんで読めない。
 握る短刀をセーランに向かって放り投げ、見事渡された短刀をセーランは受け取った。
 見た目よりも重たく、ずっしりとしていた。
 古いものなのか、鈍い光を放っている。
「持っていけ。役に立つ」
 交互に短刀と八頭を見て、数回それをセーランは繰り返す。
 するとある回数から、途端に嫌な表情となり、
「……なんかこれ、生温い……」
 クソムカつく奴だな、と思いながら心は冷静に保つ。
 どうせ、

 お前の体温で温かくなってますけど、今どんな気持ち? ねえ、今どんな気持ち?

 とでも言いたいのだろう。
 だがこちらは大人だ。
 大人の対処法と言うものがある。
 冷静にいこう。冷静にだ。
「気のせいだ。それは結界を破壊する妖刀だ」
「おわちょ!? あ、あぶねえ、呪われるところだったあ……」
 飛んで慌てて、持った短刀を地面に捨てた。
 妖刀とは、誰もがむやみやたらと扱えるものではない。
 知っていたから、短刀を捨てたのだ。
「嘘だ。ほら拾え」
 これぞ大人。
 してやられたとセーランは思いながら、手から離してしまった短刀を拾い上げる。
 しかし一体、これはなんなのだろうか。
 護身用やお守りならば、別にいらない。
 こちらの心を読んでなのか、彼方が答えをくれた。
「それは結界を壊す力を与えた刀だ。強力な力を与えているが、使用者には無害だ。安心して使え」
「いいのかよ」
「お前は一応合格だ。だからきっちりと救いに行ってこい」
「一応って」
「俺はまだ認めてないってことだ」
「そりゃあ、残念」
 と、前置きの会話を入れる。
 八頭は天を見上げるように空を見て、上げた顔をまた下ろした。
「少し、聞いてくれ……」



 数分後、森に囲まれたかの村から、一人の学勢が飛び出した。
 宙に浮き、流魔操作によって移動している。
 彼が向かうのは正面。
 
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