第一物語・後半-日来独立編-
第四十九章 その意志の強さ《2》
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と移動。
後は止まっていれば、勝手に棒の方から通り過ぎて行く。
「そんなんで避けた気になったらいけねえって」
言うと、棒が十字にに割れた。
計四本の棒となり、四本の棒が横に並列して迫って来る。
流魔操作によって形作られたものだ。
予想は出来ている。
だから、また数歩動くことで回避する。
並列した棒は八頭に当たることなく、彼の後ろに生えていた木にぶつかった。
食い込み、木屑を散らす。
「単調的で読み易い。相手にしたら実に結構なことだな」
「うるせいやい。全く、刀なんて物騒なもん持ちやがってよお」
刃に太陽光が反射し、直視しないように気を付けながら行った。
相手の間合いに入ることは、正直利口な行動とは言えないが、防ぐ手段を持っていたら別だ。
走り、同時に左手に流魔操作によってガントレットを創る。
「打撃による近接戦闘か。刃か拳か、どちらが強いか勝負ということだな」
「俺はそんなに利口じゃねえさ」
セーランは打撃を放つ。
反応素早く、八頭は刀を彼の無防備な右側へと送り、切り裂く。
が、冷たい音と共に刀の流れが止まった。
「流魔操作……!」
右脇腹を流魔の盾により守った。
「単調的なのはどっちだよ、と」
一方の流れが続く拳が、狙う八頭の頬を打つ。
今度は鈍い音と共に、ぐらりと八頭の身体が揺れた。
衝撃の際、口のなかの皮を噛んでしまい、鉄の味が口に広がる。
距離を一度離し、乱暴に唾を吐いた。
「いい拳だ」
「右腕が無いから右側に攻撃するなんて馬鹿でも分かるわ。常日頃、右には気を配っているんでね」
「ごもっともだな」
自身の浅はかさを指摘され、確かにと思った。
右頬は痛みから、けいれんを起こしたような感じがする。
遠慮無く殴ってきた。
全く、手加減をしないとはなんと礼儀知らずだ。
対する自分も容赦の無い攻撃を仕掛けていたが、人とは自身に都合のいいように物事を捕らえるものだ。
気にしない方向でいく。
ふう、と息を吐き、一種の区切りを行う。
「お前が委伊達・奏鳴にやることは解った。ならば次に、お前は多くの者を殺めた委伊達・奏鳴の心を癒せるのか」
委伊達・奏鳴の家族は、彼女の手によって殺され、亡くなった。
それは彼女が竜神の宿り主となって、一年経たない内の出来事である。
その時から彼女は、竜神の力を抑え込めなくなっていったのだ。
「癒せてみせるさ。家族の死を乗り越えられるように」
「それはどうだろうな。委伊達・奏鳴には、その時の光景が脳に焼き刻まれている」
彼女にとってその時の記憶は、恐怖を具現化したようなものだ。
自我があったにも関わらず、自身の身体は竜神の力によって暴走し、ただ見ていることしか出来無かったのだから。
脳に
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