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占術師速水丈太郎 五つの港で
第七章
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第七章

「悪魔ですから」
「悪魔ですか」
「異形の存在です」
 そのものだと述べた。
「こレに関わっているのはです」
「ではやはり貴方の専門ですね」
「そうなります。ただ」
「ただ?」
「その隊員のことを知りたいのですが」
 それをだというのだ。
「宜しいでしょうか」
「はい、それではです」
 伊藤は彼の言葉に応えてであった。すぐに幹部自衛官、普通の軍で言う将校を呼んでだ。彼の案内をさせるのだった。
 白い桟橋を歩きながら周りを進んでいく。案内をしているのは口がやや尖り強い目をした端整な幹部自衛官であった、その腕には太い金モールが二つある。一尉ということがそれでわかる。彼は名前を原田といった。自分から名乗ってきたのである。制服の後ろから見えるうなじの毛が随分多くそれがかなり印象的である。
 原田は彼を右から二番目の桟橋の端に案内した。そしてその下の海のところを指差してそのうえで速水に対して説明するのであった。
「ここなのです」
「ここでその隊員がですか」
「そうです。死んでいました」
 こう彼に話すのだった。
「どう思われますか?」
「そして護衛艦はこの桟橋にあったのでしょうか」
「いえ、向こうのです」
 原田は左手を指差した。見ればそこに細い水道がある。そしてその先にも何かがある様であった。
「あちらにも港がありまして」
「そういえば横須賀には港が二つありましたね」
「そうです。本来はあちらに停泊している艦で勤務していました」
「それが被害者だったのですか」
「名前は塚本勝一」
 その名前も語られたのだった。
「海士長でした」
「それが被害者の階級でしたか」
「どうもあまり評判のいい男ではなかった様でして」
 原田はこのことも言い加えた。
「それでまあ」
「恨みを持つ者の反抗だと思われたのですね」
「最初は、です」
 あくまで最初はそうだったというのである。
「ところがです」
「ところが?」
「その殺され方は聞いてますよね」
「ええ、まあそれは」
 速水は原田のその言葉に応えて述べた。
「動物も機械も一切使わずに」
「でしたね」
「それでいて外部からの力で捻られていました」
 相反する二つのことがここで重なっているのであった。外部からの力を使わずに人を捻って殺す、そうした相反する事柄がであるのだ。
「ですから怨恨の、少なくとも人間のそれではないと」
「わかったのですね」
「それだけは有り得ないとわかりました」
 そうだったというのだ。
「そえでなのです」
「ふうむ。向こうの港からこちらの桟橋まで遺体がですか」
「これもまた有り得ないことなのです」
 それもだというのである。
「潮流でもあちらからこちらに流れることはありませんし」
「それでは
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