02シュミクラム
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しいが。
「それじゃあ、ヘイゼルに送ってデータ収集をするといい」
「わかった」
俺は母さんに秘匿回線の通信を送る。すると、直ぐにチャント(直接通話)が返って来た。チャント(直接通話)は軍用ツールのひとつで、インストールしている者同士で秘匿性の高い直接的な通話ができるようになり、軍人の基本的な装備だ。俺もインストールしている。
『何かあった?』
『うん。今、大丈夫?』
視界に母さんの顔が映し出される。母さんの背後からは悲鳴が聞こえてくるが気にしない。
『相手は雑魚だから平気。それでどうした?』
どうやら、片手間に戦闘を行っているようだ。まあ、問題なさそうなので、要件を告げる。
『母さん用のシュミクラムを作ったんだ。だから、そっちに送るね。できれば使って欲しい』
『わかった。ノイから聞いている。期待させてもらう。ありがとう』
『うん。それで、今度はいつ戻ってくる?』
『この仕事が終わったら戻る。お土産は何がいい?』
『なんでもいいよ』
『わかった。それと、身体には気をつけるように』
それだけ言ってチャント(直接通話)が切れた。俺はシナンジュを送りつけたので楽しみだ。
「それで、ヘイゼルはなんだって?」
「今の仕事が終わったら来るって」
「そうか。シャルの学校の事とかも相談しないといけないから丁度良いな。さて、ご飯にするか」
「わかった」
資源が枯渇している現在、前時代的な料理……前世での普通の料理は高級品だ。庶民に手が届くのは化学合成で作られた完全合成食料だ。本物の食品は上流階級の住んでいるミッドスパイアぐらいでしかお目にかかれず、値段は2桁違うはずだ。見てくれは肉や魚、野菜を使った料理と変わらないが、食べると非常に味気ない。栄養素だけを似せた別物だ。だが、これの対策として、調整済みナノマシン……ナノの素にプログラミングして食べるのだ。プログラミングを間違えると意識が吹っ飛んだり、最悪死亡する場合もあるが。
「シャル〜まだか〜」
「ちょっと待ってて」
大量に作ってあるデータから、作る料理のプログラムコードを呼び出して調理をしながらナノの素に味付けを行う。程なくして、カレーライスが出来上がった。蜂蜜入りで、ふくしん漬けやらっきょうも置いておく。
「はいよ」
「うむ。頂きます」
2人でカレーライスを食べる。激ウマだ。樹形図の設計者でかなりの旨さに仕上がっているので、パクパク食べられる。
「午後から診察の予定が入っている。シャルは好きにしているといい」
「なら、シュミクラムで遊んでみるよ」
「ホームエリアだけにしておけよ。出るにしてもシュミクラムをちゃんと動かせるようになって
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