第五章
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第五章
「だからなのです」
「成程、それでなのですね」
「はい、そうです」
まさにそれだというのだった。
「それでは。最初は横須賀ですね」
「基地の中です」
「どちらの基地ですか?」
「横須賀中央から行く方です」
JRの駅の名前である。横須賀といえばその駅から出る市街をさす場合が多い。
そしてそこはだ。速水もよく知っている場所であった。
「あそこですか」
「御存知ですよね」
「ええ、よく」
「では早速行かれるのですね」
あらためて彼に問うのだった。
「横須賀に」
「そうさせてもらいます」
速水は静かに答えたのだった。
「今から」
「わかりました。それでは宜しく御願いします」
「ええ、では」
速水は早速カードを出した。それはまた運命の輪だった。
そのカードを出すとカードから巨大な青い渦が出て来た。そうしてその渦を見ながら官僚に対して言うのだった。
「では今から」
「そこから横須賀に行かれるのですね」
「便利なものです」
言葉が微笑んでいた。
「これを使えば何処にでも行かれるのですから」
「だからですか」
「はい、それでは」
そのまま渦の中に入ってであった。彼は横須賀に向かった。その横須賀中央の駅の下に着いた。目の前には広く大きな道が一直線に続いていた。
その道には車が行き交っている。そして左右の歩道には人々が歩いていて店も立ち並んでいる。そこはまさに横須賀の街だった。
前に出て歩いていくと十字路になっているのが見える。そこにも店がありそうして人々が行き交っているのが見える。だが速水は今はそれには目をくれず静かに自衛隊の基地に向かった。
入り口は検閲の場になっていて衛兵が立っている。その彼に対して言うのであった。
「あの」
「はい?どなたですか?」
「総監に用があってです」
こう衛兵に対して言うのだった。見れば入り口にはこの衛兵の他にも三人程度いる。銃も持っておらずのどかな様子であった。
そののどかな兵士に対して言ったのである。
「速水丈太郎といいます」
「速水さんですね」
「はい」
「職業は」
「職業ですか」
「はい。何でしょうか」
兵士はここでこれについても尋ねてきたのであった。
「どちらの方でしょうか」
「会社を経営していまして」
咄嗟にこう言ったのである。
「私の会社にクレームがありまして。それで参上したのです」
「それでなのですか」
「そうです。何なら名刺もお見せしましょうか」
「いえ、それはいいです」
兵士もそれはいいとしたのだった。
「それは」
「そうですか。それでは」
「はい、どうぞ」
こうして彼は基地の中に入った。右手には前に来た時と同じく青い海が広がっていてそこには護衛艦が見える。それ
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