Episode17:帰還と姉弟共闘
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イスの吹雪。俺の今出せる八割くらいの出力のドライブリザードだが、恐らくあの二人には足止め以上の効果は期待できない。だったら、最初っから攻撃ではない使い方をすればいいだけだ。
「姉さん!」
「任せなさい!」
打てば響く返事から一瞬置いて、濃い霧のヴェールが辺りを覆った。
ドライアイスの礫を発生させる魔法ーー『ドライブリザード』。それによるドライアイス気化によって空気中の水蒸気を凝固し、気化した二酸化炭素を溶け込ませた電気伝導性の高い霧。それがこの白いヴェールの正体。
霧は周囲に充満。姉さんは既に退避済み。そして、標的は行動不能。
さあ、準備は整った。
「這い寄る雷蛇!!」
別に魔法名を言う必要はないんだけど、まあ、今回は殺しちゃいけないからね。一応、防げるように大声で警告しておく。けど、手加減はしない。
俺の右手から、バチバチと弾ける雷が放たれた。
瞬間、世界が発光した。目を灼くほどの光量にやりすぎたかな、とか考えつつ、俺は焼け焦げた地面を見て溜息をついた。
だがーーーー
「そんなものか?」
「ガッ!?」
気づいた時にはもう遅かった。いつの間にか俺の懐に入っていた仮面の男の回し蹴りで吹き飛ばされる。
「やっぱり、あれだけじゃあ倒せもしないか…!」
態勢を立て直しながら、俺は素早く周囲に目を走らせた。仮面の男は俺の目の前に、姉さんは俺の後方に…仮面の女、は。
「姉さん!後ろだ!」
そう声を上げたと同時に、姉さんが動いた。
素早く身を翻すと、抜刀の態勢にはいる。
「まったく、隼人が味方でよかったわ」
そのまま、突然現れた仮面の女と交戦に入った。
「認識阻害魔法か…まったく、厄介なものを…!」
姉さんの無事を確認してから、意識を目の前に佇む仮面の男に向ける。
さて、これからどう戦おうか。
「ーーーー滅ーー」
「っ!」
考える暇もなく、男の持つ刀の切っ先が襲ってきた。それを首を捻って躱し、一歩男に向かって踏み込む。
「雷帝!」
雷を纏って肉体活性し、男に立ち向かう。こっちは素手で、相手は刀。懐深くに潜り込んでしまえば、こっちが有利。
「とか思った一瞬前の自分をブン殴りたい!」
そう叫んで、小太刀を振るい始めた男から距離をとる。
流石に色んな武器を仕込んでるよね。まだ、他にもありそうだ。注意していこうか。
「さて、と。じゃあ俺も、新武器を披露しようかな」
本当はさっき一回使ったんだけどね。
男が動いたらすぐに対応できるように腰を落として、燕尾服の右ポケットに手を伸ば
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