Episode17:帰還と姉弟共闘
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対象を設定、消失。
手を翳しただけで、俺を焼くはずだった火の玉は一つ残らず消え去った。だが、安心なんてしている暇はない。
「っ、そこだ!」
背後に現れた気配に向けて手を振るう。そのすぐ後に、ドライアイスの吹雪が駆け抜けた。だが、それは急速に蒸発して濃い霧となってなくなった。
濃密な霧のせいで、視界が悪い。だが関係ない。景色を把握することは難しいけど、俺の能力で人の位置を探るのは簡単に可能だ。見れば、今まで背後にいた人が正面にまで接近してきていた。
だがそれは想定できた事態のため、焦りはしない。コンパクトに突き出される白手袋に覆われた華奢な拳。それを、体を右に傾けることで躱し、カウンターとして軸足を払う。体格が小柄なため、その上濃密な霧のせいで視界が悪いために簡単にバランスを崩すことができた。
「ハッ!」
泳いでいる体に向けて全力の回し蹴りを放つ。
ズドッ、と鈍い音をたてて蹴りがスーツの女の体を捉え吹き飛ばした。けど、流石に綺麗にキメさせてはくれないようだ。力の差があるために、女の体は押しやられているが、右腕でしっかりと蹴りの威力を殺していた。
「隼人!」
「チッ…」
姉さんの声が聞こえた途端、俺の目の前の霧が左右に裂けた。その左右に割れていく霧の真ん中から伸びる銀の刃。それを、俺は体を右に逸らして躱す。見切った、そう思った瞬間、俺の体は仮面の男による移動魔法で吹き飛ばされていた。
「しゃがんでちょうだい!」
背後からの姉さんの指示に素直に従い、しゃがみ込む。
「いくわよ!」
「え?なにーーゲフッ!?」
なにを行くんだ、と尋ねる直前に、俺の背中に鈍い痛みと衝撃が突き抜けた。それは、姉さんが俺の背中を足場にして跳んだのだと一瞬で理解して、苦笑いを浮かべながらすぐさま立ち上がり様子を見る。
空中に躍り出た姉さんが、刀の持っていない左の手を二人に向ける。刹那、重苦しい音をたてて二人の足が地面にめり込んだ。
九十九家の中でも、姉さんにしか使えないBS魔法『圧神』。
地球上にあるものには必ず重力がかかっている。しかし、それをなんの装置もなしに改変することは不可能。しかし、姉さんにはそれができる。
『圧神』は、圧力を操る魔法の総称だ。水圧、重力、など自然界に存在し、重さに例えることができる力全てを改変することができる。
今回、姉さんが操ったのは重力だ。俺には分からないが、仮面の男と女には俺らより数倍の重力がかかっているのだろう。そうなれば、動くことすら難しい。
「隼人!」
名前を呼ばれて、すぐさま行動を起こす。
「さあ行け!」
掛け声と共に吹き荒れるドライア
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