Episode17:帰還と姉弟共闘
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っかりと履き替えて、最後に白い手袋を嵌める。完全にどこかの英国執事のような服装になった俺は、机の脇にかかっていた狐の面を手にとって部屋を出た。
「それで、どう攻めるの?」
九十九家の、所謂勝負服に着替えてきた俺は、玄関で姉さんにそう問いかけた。
「いま少し外の様子を伺ったけど、二人は固まっているようね。私が正面から強襲するから、隼人は裏に回ってくれるかしら?」
刀型のCADの柄を握りながらそう提案してきた姉さんに、俺は頷いた。
「行くわよ」
「おーけー」
合図を交し合った刹那、姉さんがドアを開いてーーーー、いや、吹っ飛ばした。
「ええええ!?」
「うるさいわよ隼人。このくらいしないと、あの人達は接近も許してくれないでしょう?ほら!さっさと行動!」
「ら、ラジャー!」
姉さんに叱咤されて、俺は溜息を吐き出しつつ雷を纏った。
それを見た姉さんは、瞬間、途轍もないほどの音を鳴らして地面を蹴った。その轟音を、俺の周囲だけ振動数を変えて防ぎ切り、俺も姉さんに負けじと地を蹴った。
外に飛び出して最初に見えたのは、俺と同じ恰好をした男と、女性用スーツに身を包んで鬼の面を被った女の姿だった。
その姿に懐かしさを感じつつ、気配を捕まさずに二人の背後に回り込む。
眼下では、姉さんが刀身を鞘なら抜き放ち男に斬りかかっていた。
姉さんの、刀の形状をした武装一体CADの刀身はそのまま抜き身の刃だ。当たれば、すぐにでもその刀の錆となることは間違いないだろう。今回の敵は、殺してはならない人物。だが姉さんは躊躇いなくその凶器を振るった。
それは、そうでもしないと、この二人に勝つことはできないから。
「くッ…!?」
男の懐に潜り込んでいた姉さんが、急にバランスを崩した。足元を見ると、姉さんの立つ地面に大きな亀裂が走っていた。そのまま、男の蹴りが姉さんに迫るーーー、そう知覚した瞬間には俺の体は動き出していた。
素早く右ポケットの中を探り、目当てのものを掴むと、それを男に向かって放つ。狙ったのは、蹴り上げている足ではなく、男の体を支えている軸足。極細のそれが男の足に巻きつくのを見て、俺はそれを思い切り引っ張った。すると、男のバランスが崩れて姉さんの左肩を狙っていた蹴りは軌道が逸れた。その隙だけで、姉さんが体制を整えるのは十分だった。
崩したバランスを素早く元に戻し、牽制の突き。それを体を捻って躱した男は、一度姉さんから距離をとった。
思わず溜息をついた俺は、残る一人の姿が消えていることに気付いた。
瞬間、
「っ!?」
背後から、無数の火の玉が迫ってきていた。慌てて俺は迫り来る火の玉に意識を向けた。
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