Episode17:帰還と姉弟共闘
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笑みかけた。
「スバルと隼人なら大丈夫だよ。それとも、お前はオレ達の子供が信じられないのか?」
「そ、そんなことないわ!スバルも隼人ももう私より強いし、仕事の心配はしていないけど……」
「けど?」
「学校でイジメられてないか、とか…」
俯いてそう言った女性を見て、男性は思わず吹き出していた。
「な、なんで笑うのよ…?」
「すまんすまん…だがセラ、それこそ杞憂だぞ?なにせあの人心掌握術のプロのスバルに、天然タラシの隼人だ。うまくいっていないわけないだろう」
「う…隼人の天然タラシは納得したくないけどそうね……まさか、櫂、貴方の悪いクセが隼人に遺伝するなんて思ってもみなかったわ」
女性ーーセラにジト目で睨まれた男性ーー櫂は口をへの字に曲げた。
「隼人はおいといて、オレはタラシじゃないぞ?オレは最初からお前一筋だからな」
なんの気もなしにそう言ってのける櫂に、セラは顔を赤くした。しかし、次の瞬間には、彼の頬を抓っていた。
「そーんな甘い言葉を軽々しく言っちゃうから貴方はタラシなのよー!それに自覚がないから天然タラシなんて呼ばれるの!」
「や、やめろセラ…!痛いって、ってててて、おいなんかシャレにならないくらい痛いぞ!?」
グギギギ、と音が聞こえてくる程に抓りあげてくるセラに本格的な危機を感じたのか、櫂はセラを引き剥がしにかかった。本人たちは真剣な話しの最中なのらしいのだが、はたから見ればそれはもはや新婚ホヤホヤのカップル同然だ。隼人が見たなら、やつれた顔で砂糖を吐き出し始めるほどの。
二人だけのキャビネットからは、そのあとずっと男女の口論が聞こえ続けたという。
「……なんだなんだ?今日はラグナロクでも起こるのかな?」
完全に日が暮れて、夜の帳が舞い降りたときだった。
台所で料理をしていた俺は、荒れ狂う雷と炎を目にした。明らかに自然現象ではない異常な光景は、それを引き起こした犯人を急速に弾き出させた。
「姉さん、帰ってきたよ」
後片付けをして、居間で寛いでいる姉さんに呼びかける。
「あら、予想以上に早いご到着ね。さて、おもてなししようかしら。隼人も、早く着替えていらっしゃい」
「分かったよ」
姉さんと言葉を交して、自分の部屋に戻った俺は徐にクローゼットを開いた。そこにかかっている、漆黒の燕尾服を手に取り羽織る。長年、仕事着として扱ってきたこいつは、急に取り出したにも関わらずしっかりと体にフィットしていた。ズボンもし
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