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豹頭王異伝
新風
魔戦士の豹変
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け、暫く後に新王へ直接口頭で報告。

 マルコと共に王の身辺護衛を務める内、徐々に情勢が飲み込む。
 数タルザン後に新都イシュタールを預かる宰相、心服する元提督カメロン向けの密書を受領。
 ドライドン騎士団を一時離脱の盟友マルコを除き第3の男、ワン・エンに黒衣の使者が同行。
 見習い魔道師は再び意識を喪った伝令を伴い閉じた空間へ消え、イシュタールへ飛ぶ。
 ケイロニア王と新生ゴーラ王から要請を受け、パロ解放軍の指導者が動く。
 ゴーラ王イシュトヴァーンに同行、ゴーラ軍の天幕へ単身丸腰で乗り込む事となった。


「誠に申し訳も無い、ゴーラ王イシュトヴァーン殿。
 数々の伝令に対する返事の使者が到着していなかったのは、全て当方の手落ちだ。
 無用の戦闘に因り犠牲者が出てしまった咎は全て私、カレニア王アルド・ナリスにある。
 この通り、心底より謝罪を申し上げる」
 光の船より奇蹟の生還を遂げた伝説の貴公子、パロ聖王家の中でも最高の美男。
 第1次黒竜戦役を逆転勝利に導いた立役者、誉れ高い中原の英雄が頭を垂れる。

 3千年の歴史を誇る聖王国の命運を握る男、パロ聖王国の実質的な正統後継者。
 アルド・ナリスが両膝を屈し両手も地面に着け、いわゆる土下座の姿勢を披露。
 イシュトヴァーンの副官を務めるマルコ、年若いウー・リー以下は硬直《フリーズ》。
 どう反応すれば良いか全く見当が付かず、瞳を見開き息を潜め眼前の光景を凝視。
 新生ゴーラ軍の最高指揮官、中原の覇王にならんと欲する無頼漢。
 ゴーラの冷酷王と畏怖される僭王、イシュトヴァーンの面を皮肉な表情が掠め唇が歪む。

「大した面の皮だぜ、わかっててやったくせにしゃあしゃあと言ってくれるじゃねぇか!
 てめぇの言い分なんざこれっぽっちも信用しねぇぞ、スカールの野郎はどうなんだよ?
 お前等が草原から奴を呼び寄せ、俺を襲えと嗾けやがったに違いねぇ。
 やつのお陰で俺様の自慢の顔にゃ、一生、取れねぇ傷跡が残るだろうぜ」
 ナリスは土下座の姿勢を崩さず嘲笑を甘受、優雅に頭を上げ暴言を吐く無法者を見上げた。
 良く似た黒い炎を秘める瞳が真正面から絡み合い、闇色の宇宙空間を背景に火花を散らす。

「重ねて御詫びするが其の件についても当方の手落ち、私の責任だ。
 スカールは私に欺かれたと激怒した後、ダネインに向かうと言い捨てて立ち去った。
 マルガ街道で貴軍を夜襲するとは思わず、監視を緩めてしまったは当方の手落ち。
 スカールの襲撃を予測する事は出来なかったが、弁解の余地は無い。
 私の要請に応えてくれた貴軍への同士討ち、敵対行動を防げなかったは痛恨の極み。
 アルド・ナリスの責任であると痛感、陳謝する次第であります」
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