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豹頭王異伝
新風
魔戦士の豹変
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「竜の門とやらをやっつけて、クリスタルを取り返しに行くんだな?
 なら話は早ぇや、ゴーラ軍も同行させて貰うぜ。
 何たって俺は赤い街道の盗賊だからな、ケイロニア軍の強さの秘密を盗ませてもらう。
 嫌とは言わせねぇぜ、何なら、パロ領内を荒らし廻ってやっても良いんだからな。

 どうせゴーラの血塗れ王と後ろ指さされてんなぁ、承知の上さ。
 此の儘イシュタールにゃ戻れねぇ、手ぶらで戻りゃ此の先ゴーラに浮かぶ瀬は無ぇからな。
 ゴーラをパロとケイロニアの同盟国として、全中原に認めさせる必要があんだよ。
 その為なら何だってやってやる、失うものなんざ何も無ぇんだ。

 どうせ俺を利用して何か企んでやがるんだろうが、お前となら取引が出来ると思うんだが。
 ゴーラ軍を胸糞悪い黒魔道への盾や棄て駒にしようなんぞ、考えやしないだろうしな。
 細かい事はうだうだ言わねぇが只一つだけ条件がある、大義名分ってぇやつを考えてくれ。
 部下共が胸を張って国に帰れる様にしてくれりゃ、クリスタル解放の手助けをしてやる。

 俺にも立場ってもんがある、2度も続けて叩きのめされた儘のこのこ戻る訳にゃ行かねぇ。
 催眠術に操られて無謀な喧嘩を売った馬鹿でした、じゃあ部下共に顔向け出来ねぇんだよ。
 ゴーラ軍3万が何の疑いも無く心の底から納得する、公明正大な理屈ってやつが要るんだ。
 どうせ、お前のこった、何かこう、搦め手からの隠し玉を用意してあんだろ?
 そいつを出してくれりゃ手打ちにしてやるよ、ナリス様とは元々話がついてるしな。
 腹の虫は全然おさまらねぇが、今回だけは見逃してやる」

 相手の迷惑を顧みず自分の都合を押し付ける我儘千万、迷惑な事この上も無い理不尽な要求。
 ゴーラ国王が聞いて呆れる盗賊の理屈、駄々っ子の様な言いたい放題の放言であったが。
 魔戦士は赤い街道の盗賊を髣髴とさせる貌へ豹変を遂げ、上目遣いに様子を伺う。
 要領の良い紅の傭兵がニヤリと小狡い微笑を投げ、グインは吼える様に笑った。
「そう考えて貰えればとても助かる、買い被って貰えるのは光栄だが生憎と俺は頭が悪いのでな。
 ナリス殿なら良い知恵を貸してくれる、のではないかと思うので相談に乗って貰えるかな?」

 パロ領に入りゴーラ軍の後を追う密使、ドライドン騎士団ワン・エンの前に。
 アルド・ナリスの使者を名乗る魔道師が現れ、カメロン直筆の証明書を見せた。
 迷信深い船乗り達は魔道師を信用せず、胡散臭い占い師と見る傾向も強いが花押は偽物に非ず。
 半信半疑の儘ゴーラ軍の現在位置と合流方法を尋ねると、何時の間にか眠ってしまった。
 気付くと直ぐ新王の許へ護送され海の兄弟、ドライドン騎士団の同僚マルコと対面。
 カメロンの密書と伝言を信頼の置ける元甲板長に預
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