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豹頭王異伝
暁闇
指導者の帰還
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潰せる故、アモンとやらを先に片付ける方が得策だな。
 聖王宮を闇王国に君臨する魔都、ドールの暗黒神殿に造り変える絶好の機会。

 豹頭王は魔戦士の対応に暫く時を要する、中原の真珠を掌握するは児戯に等しい。
 チチアの子狼は捨てられる恐怖を煽り、逆恨み妃を操り狂女の如く責立てれば、豹は成す術も無い。
 キタイの竜めと強情な豹頭王を?み合わせ、キタイと中原の黒幕となる勝者は闇の司祭グラチウス也。
 早速クリスタルへ飛び、魔王子とやらを捻じ伏せるとするか。
 壮大な野望の成就する刻は案外に近いかも知れぬ、ヒョヒョヒョヒョヒョ)
 闇の司祭グラチウスも閉じた空間を開き、魔都に向け姿を消した。

 イシュトヴァーンは翌朝、何処からとも無く自軍の天幕に舞い戻った。
「堪忍袋の緒が切れた。
 神聖パロの奴等なんぞ、皆殺しにしてやる。
 スカールの野郎が神聖パロとつるんでる事は、わかってんだ。
 ナリス様が死んだって時に、後から出て来て竜頭の化けもんと戦ってたじゃねえか。

 マルガの弱虫共は、スカールに泣き付きやがったんだ。
 自分達は何も知りませんでしたってな顔で、しゃあしゃあと誤魔化す腹積もりでな。
 わざわざ援軍に出向いてやったってのに、やる事が汚ぇ。
 俺達ゴーラ軍を邪魔と見て、切捨てにかかりやがったんだぜ!

 ナリス様は、何も知らねえんだろうがな。
 他の奴等は一人残らず、ぶった斬ってやる。
 俺のやっちまった事をあげつらって、血に飢えた化け物扱いしやがって!
 ゴーラを舐めたマネする奴がどうなるか、教えてやる!!」

 驚く副官マルコの制止を振り切り、マルガ襲撃を命令。
 炎の破壊王は紅都アルセイス、トーラスに続き流血の惨事を実現する為に進軍を再開。
 ケイロニア王の新設した旗本隊、竜の歯部隊は黒竜騎士団・金犬騎士団と合流。
 マルガ北方《星の森》に総勢2万1千が展開、ゴーラ軍を阻止する構えを見せる。

 イシュトヴァーンは嘗ての盟友グインに使者を派遣、懐柔を試みた。
 新生ゴーラ王国は神聖パロ帝国の盟友、レムス軍を撃退する為に馳せ参じた援軍と釈明するが。
 一枚上手の老獪な交渉人《グラディエイター》、グインは懐柔に応じると見せ翌日の入城を勧告。
 イシュトヴァーンと直接対談、人払いの上で腹を割った上での密談を提案。

 紆余曲折の末に実現した会見の場で想定内の事態が突発、ヤンダル・ゾックの後催眠が発動。
 イシュトヴァーンは表情を不自然に硬直させ、グインの提案を蹴り戦端を開く。
 ゴーラ王が魔の胞子に犯されいるか否か、ギールに確認させた後で豹頭王は戦闘を開始。
 ナリスが帰還すると予知姫の告げた運命の日、パロの救世主アルド・ナリス帰還の前日。
 ゴーラ軍3万、ケイロニア軍2万1
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