新風
湖の波紋
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「カレニア政府と神聖パロ帝国は解散する、其の様に決めた。
諸国への通達は通常の伝令で構わない、下級魔道師も結界を強化して貰う」
古代機械の認める《マスター》、聖王家の正統後継者は闇色の瞳を煌かせた。
魂の従者が胸に秘める懸案事項を読み取ったかの如く、唐突に宣告する美貌の策謀家。
アルド・ナリスが艶然と微笑み、ヴァレリウスは硬直。
背後を振り返ると悔しい事に、ヴァラキアのヨナは至極当然と頷き表情を全く変えておらぬ。
「そんなに、無茶苦茶な事を言ったかな?
聖王レムス1世は憑依服従の支配下に在るが、自我を保持し竜王の支配に抵抗している。
リンダとアドレアンを救出した際、グインが確認してくれた。
神聖パロ帝国は虚構、と言っては言い過ぎだが単なる方便に過ぎない。
骨肉の争い、パロ聖王家の遺恨試合と見られたくなかったからだ。
私は元々、聖王の座に興味は無いからね。
竜の門が殺戮を繰り返した為、真実は既に明らかとなった。
キタイを蹂躙した黒魔道師が聖王を操り、中原の真珠クリスタルを支配している。
私の告発が真実である事は世界最強の軍勢を率いる英雄、グイン陛下の保証を得た。
クリスタル解放の暁にはどうせ聖王国と合併して、発展的解消を遂げるのだからね。
神聖パロ政府は形態を改め、パロ解放軍に名称を変更する。
パロ製王国の第三勢力、カラヴィア公アドロン殿は昔から私と距離を置いている。
リンダが色仕掛けで愛息を操り、たぶらかした訳では無いと納得させるのは至難の業だが。
アドレアン公子を置き去りにして、セム族の娘を優先した訳ではないからね。
冗談はさて置き聖王レムスの後ろ楯、沿海州の雄アグラーヤ王国にも特使を派遣しよう。
レムスは憑依され傀儡となった責任は免れない為、聖王の称号を剥奪し監視下に置くが。
竜王の影響から脱した事を証明できれば復位、統治する事には何の問題も無い。
ボルゴ・ヴァレンの娘婿は洗脳が解けるまで拘束するが、アルミナ王妃の身分は安泰だ。
何度でも再言するが、アルド・ナリスは聖王の座に就きたいとは思わない。
クリスタル大公アルド・ナリスは心を入れ替え、数少ない王族の一員としての責務を果たす。
カラヴィア侯アドロンは私を御嫌いの様だが、この線で説得すれば問題は無いと思うよ。
何なら経験豊かな摂政として、トール・ダリウか誰かを迎えても構わない。
私も悔い改め、忠実無私の宰相として聖王レムス1世を真摯に補佐する事を誓う。
人材も払底しているし、そこまで言えば本気だと思って貰えるんじゃないかな。
アルゴスにも使者を出して、スタック王を宥める必要がある。
総ての責任は私に在る故スカール、グル族に罪は無いと納得させないと
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