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豹頭王異伝
新風
湖の波紋
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大魔道師ヴァレリウス伯爵にね。
 私の顔なんて見飽きる程に眺めて来た筈の君が、急に無口を貫くなんておかしいよ。
 そんなに、美しいかね?」

「ぶっ」
 思わず噴出してしまった後、ヴァレリウスの瞳から涙が溢れた。
 眼の廻る様な幸福感が湧き起り、感情の大波が心底から込み上げる。
 心の一部が融け、解放されて行く。

 夢じゃない。
 この方は、本当に還って来たのだ。
 もう、ゾルーガの指輪は要らない。
 縺れた感情の塊が軽く透明な気体と化し、心から流れ出て行った。
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