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豹頭王異伝
暁闇
ゴーラ王の憂鬱
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 ケイロニアの力は借りねぇ、グインにゃ助力は要らねぇからとっとと帰れと言うさ。
 レムスの餓鬼なんざ追い出して神聖パロ、ゴーラの王様が手を組み中原を征服するんだ。

 ナリス様と俺は天下を取るんだ、誰にも文句なんざ言わせねぇぜ!
 豹の旦那に邪魔はさせねぇ、指を咥えて見てるしかねぇ様にしてやる。
 マルガに着いたら眠らせてやる、1ザン後に動くと全軍に伝えろ!」
 ゴーラ軍は総司令官の号令を歓迎、ダーナムを放棄し直ちに進撃を開始。
 イシュトヴァーン得意の猪突猛進に異を唱えず、マルガ街道を夜間行軍で南下する。

「ふん、そうは上手くいかんぞ。
 リー・ファの仇、取らせて貰う」
 グル族を率い北上する草原の黒太子、スカールは抜け目無く偵察を派遣。
 馬と共に暮らす草原の民が俊足を飛ばし、的確に各地の状況と最新情報を収集。
 ゴーラ軍3万を率いる仇敵、イシュトヴァーンの動向が判明し馬術の達人達は疾走。

 破壊王の異名を奉られる魔戦士の叱咤を怖れ、ゴーラ軍は不案内な異国で闇の中を進む。
 マルコの危惧が的中し精悍な騎馬の民、一騎当千の戦闘集団が繰り出す猛撃をモロに受けた。
 イシュトヴァーンは深酒が祟り、スカール相手の一騎打ちに劣勢を強いられるが。
 命辛々崖から激流に身を投じ、復仇の念に燃える南の鷹から逃走。
 遙か上空では到底、常人に聞き取る事の不可能な魔道師達の会話が飛び交っていた。

(貴様、ドールに追われる殻潰しめ!
 一体、何の真似じゃ!!
 何故、グル族の気を隠した!?
 南の鷹へ味方する理由なぞ、貴様には無い筈だぞ!!)

(性懲りも無く、出てきおったな。
 名医を装い黒魔道の術を施す偽善者め、お前に言われる筋合いは無い。
 キタイのリー・レン・レンを手に入れ損ねたので、またぞろ馬鹿な考えを起こしおって。
 アリストートスを魂返しの術で甦らせ、パワーを得る当てが外れた愚か者。
 無辜の民を血の海に沈め、怨念を己が魔力として吸収せんと図る阿呆めが。
 モンゴールの民に続き、マルガの民も黒魔道の生贄に捧げる事は許さぬ)

(キタイで邪魔しに出しゃばっただけでは飽き足らず、またも首を突っ込んで来るとはな。
 今度は、アルセイスの地下牢獄に縛されるだけでは済まんのだぞ!
 尻尾を巻いて逃げ帰るが良いわ、くそ爺いめ!
 その未練がましい細首をドールが捻じ切る前にな!!)

(退くのは、貴様の方だぞ。
 お前がキタイでリー・レン・レンにちょっかいを出した事は、北の豹に知れた。
 豹頭王の力《パワー》無くして、貴様如きが聖王宮の魔王子に対抗出来る訳が無い。
 グインが到着すれば王の力《パワー》を借り、お前を封印してくれるぞ)

(ふん、言いおるわ!
 良いとも、この場は引
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