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豹頭王異伝
暁闇
青星党の使者
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ラを抱える吟遊詩人が姿を表す。
 3人目の登場に驚いた素振りを見せず、グインは眼光を抑えた。
「お前もか、マリウス?
 まさか、キタイまで行って来た訳では無いだろうな?」
 サイロンを飛び出した聖王家の異端児、ササイドン伯爵は気後れした様子で表情を窺うが。
 ユラニアの青髭から鉄面皮と評された異形の豹面、特異な容貌からは何の感情も読み取れない。

「僕は、そのう、パロに向かう途中で、この人に助けて貰ったんだ。
 ユリウスが出て来てさ、グラチウスの許へ行かれそうになったんだけど。
 イェライシャの薬草を摘んだ後、グインに相談する方が良いって助言されたんだよ」
 珍しく歯切れの悪い口調で喋る饒舌の徒、ヨウィスの民を自称する聖王国の第4王位継承権者。
 マリウスは尚も何か言い掛けた途端、断固とした口調で遮られ思わず口を噤んだ。
「すまぬが、後にしてくれ。
 俺はキタイで何が起きているのか、一刻も早く知らねばならん」

 言いたい事は胸に溢れ返っているが、何から話せば良いか見当が付かない。
 ユー・メイも吟遊詩人と同様に一言も発せず、困った顔で後ろを振り向いた。
「私には上手に説明出来ない事が一杯あるから、おじいさんから話して貰って良いですか?」
 ドール教団の先代最高司祭、水竜に由来する太古王国ハイナムの神官であったかも知れぬ男。
 イェライシャは穏やかに微笑み、シャオロンの妹に安堵の表情が拡がる。
 グインが肯く仕草を確認した後、ドールに追われる男が語り始めた。

「キタイでは王の去った後、未来の大君と見込んだ若者が急速に勢力を拡大していた。
 リー・レン・レンは嘗ての青鱶団、清花団を中心に組織を拡大し青星党を名乗っている。
 家族を返せと告発する勇気を持つ者、誰もが願っている希望の代弁者が初めて現れたのだ。
 彼は望星教団の支援を受け家族の消息を求める遺族、キタイの民の希望を一身に集めた。
 竜の門共は青星党を攻撃したが、ヤン・ゲラールは王との契約を守っている。
 元青鱶団や清花団の戦士達が負傷の後、王が見込んだ少年の護衛は望星教団が引き継いだ。

 青星党と望星教団は各地に連絡を取り、シーアンから戻らぬ女達は10万を超えると判明した。
 シーアンに妻や娘を連行され、キタイの現状を憂える人々に正確な情報を与えた。
 竜王に抵抗を続ける青星党の指導者、リー・レン・レンの名は全土に知れ渡った。
 旧王家の残党や古い信仰を奉じる者達も好機と見て、家族の返還を求める運動に参加している。

 若き指導者は新都シーアンを標的に定め、キタイ各地の勢力を糾合し味方に付けた。
 ヤンダル・ゾックも聖王の遠隔操縦、古代機械の獲得を一時的に断念した模様と見える。
 リー・レン・レンを護る戦士達は執拗な攻撃を受け
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