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豹頭王異伝
転換
煙とパイプ亭
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が産まれた直後のアリス、正真正銘の初孫を得たオリーを引き離す事は出来ない。
 重苦しい沈黙を吹き飛ばす勢いで、オリーが肉まんじゅうを持って来た。

 モンゴール大公家の一大事、アムネリスの出産。
 男児の誕生を知り、オリーは爆発した。

「アムネリス様に、お子が出来なさったのかい!
 なんて大変なこった、そりゃ、あたしがいれば、赤ん坊は大丈夫だよ!!
 あたしゃ、オロもダンも、マリニアだって風邪ひとつ引かせた事なんかなかったんだからね!
 あぁ、でも、どうしよう、アリスにゃ赤ん坊が2人もいるんだよ!!
 とっつぁんだってあたしが面倒を見なきゃなんないし、店を空ける訳にも行かないし!
 あたしゃ一体、どうすりゃいいんだろう!!」

 思考が纏まらず錯乱状態一歩手前で両手を揉み絞り、困惑と感情を矢継ぎ早に迸らせる。
 ヴァラキア随一の提督も饒舌の奔流に圧倒されるが、ダンが慣れた様子で宥め漸く舌峰も緩和。
 オリーにゴダロとアリスを呼びに行って貰い、4人が揃った所で。
 カメロンは再度、話を繰り返した。

「迷ってる暇なんざあるか、愚図愚図してねぇで行って来い!
 カメロン様の御話じゃ、アムネリス様が困っておられるそうじゃねぇか!!
 モンゴールの者が御助けしなくてどうすんだ、大公様の御役に立って来い!
 ダンを助けなすってくれた命の恩人、カメロン様の御頼みなんだぞ!!
 わしらにお返し出来る事をするなぁ当然のこった、店は何んとでもなる!
 ダンとアリスがいるんだ、何も心配する事なんかねぇだろう!!
 わしの事なんざどうだっていい、ぎゃあぎゃあ騒いでねえでとっとと行って来い!」

 盲目のゴダロは真っ赤になって怒鳴るが、オリーはおろおろと前掛けを揉み絞る。
 ダンも流石に、1人で行け、とは言い難い。
 両親を見比べ、困惑の表情で沈黙。
 思わず溜息を吐く、新生ゴーラ王家の後見人。
 カメロンの耳に、思い掛けない声が響いた。

「あたしも、連れてってください」
 子供の様に澄んだ儚い声に皆が驚き、一斉に発言者を振り返る。
 アリスは、更に、小さくなった。

「あのう、わたし、思うんです。
 タヴィア姉さんが、マリニアちゃんを産んで、オリー母さんと一緒に、育てる様子を傍で見てたけど。
 それでも、初めて、自分の子供が産まれると、全然、どうすれば良いか、何にも解らなくて。
 オリー母さんがいてくれなかったら、夜も、昼も、少しも眠れないくらいに、私、不安なんです。

 きっと、アムネリス様も、わたしより、ずっと、ずっと、不安だと思うんです。
 でも、わたしも、オリー母さんが、傍にいてくれないと、不安だし。
 タヴィア姉さんだって、マリニアちゃんを連れて、ケイロニアに行ったんだし。
 ま
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