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光の船
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「的確で論理的な良い質問だね、状況確認の要点を簡潔に纏めている。
初歩的な事だよ、ヨナ君。
竜王には夢の回廊、或いは異次元の蜘蛛しか私に直接働きかける手段が無い。
他にも存在しているものならば、既に使用していた筈だよ。
君達を大騒ぎさせている物体は、夢の回廊の産物でなければ異次元の蜘蛛でもない。
未知の結界が竜王の発生させた物なら、これまで1度も見せた事が無いのも不自然だ。
現在は今まで投入せず温存してきた切り札を、私を拉致する為に投入する様な局面ではないよ。
古代機械を操作可能と証明されたグインを捕らえる為、竜王は全力を投入したい所だろう。
今の私が影響を受けているとすれば、竜王は新たに開発した直後の術を使っている事になる。
私の知性は断固として、そんな偶然は都合が良すぎると判断し認める事を拒否するね」
精神的視野に於いてナリスは、先程の念話《コンタクト》を再現してみせた。
「古代機械は自らを転送し得る、これは<マスター>にしか明かされていない事実だがね。
思念波に拠ればグインは、私より上級の<マスター>であるらしい。
パロ聖王家の歴史上、同時に2人の<マスター>が存在する事は無かったのだけれども。
それに私の身体を治せる、とか言ってたな」
「なんですって!
何故、それを早く言わないんですか!?」
ふくれっ面で心話を聞いていたヴァレリウスが、此処ぞとばかり大声で喚いた。
古代機械が認める聖王家の正統後継者、アルシス家の長兄はわざとらしい仕草で耳を覆う。
白魔道師は顔面を真紅に染め感情が其の儘、念波と化して爆発するかと見えたが。
瞳の中に猛烈な炎が踊り、灰色の眼が凄絶な光を映す。
ヨナとのあからさま過ぎる対応の違いに、収まりが付かない。
ナリスがわざとやっている事は、充分理解しているのだが。
「湖の中の小島に、連れて行っておくれ。
古代機械に入るのは、私とヨナだけだからね。
君には竜王に気付かれぬ様、外で結界を張っていて貰おうか。
大導師カロン、魔道師の塔が事実上パロ最強と認め全権を委任した程の男だ。
私は赤子の様に、君を信頼している。
大船に乗った心算で、枕を高くして眠れそうだ。
宜しく頼むよ、大魔道師ヴァレリウス卿」
困った様な顔で、ヨナが振り返った。
ヴァレリウスの思考は、表記を憚られる。
パロ魔道師軍団の精鋭達は、リリア湖の小島に厳重な結界を張った。
竜王側から見れば古代機械、ナリスを一挙に奪う絶好の機会《チャンス》。
イェライシャとは何故か、連絡を取れないが。
今度こそ、失敗は許されない。
カロン大導師の命令を受け、魔道師の塔から総勢105名が派遣された。
上級魔道師ロルカ、ディラン、
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