夢の駆け落ちでドッキリ!!
「おまたせ、駆が好きなウインナーできたよ」
顔をあげると歌がお皿を持ってにっこり笑って立っていた。
「ありがとう!」
さすがに何度も作ったことのある料理だけあって、それなりにうまく焼けたようだ。
まあウインナーだけどな。
「そういや俺、歌ん家にいても大丈夫なのか?前みたいに歌の父さんに怒られないかな」
「大丈夫。お父さんは明日の朝まで帰ってこないから。今日は誰にも邪魔されないよ」
「そ…そうか」
「はい、駆。あーん」
歌がウインナーを箸ではさんで俺の口元にもってくる。
「う…うん。あーん」
(何度もしてるとはいえ、やっぱこれは恥ずかしいな…)
「うめえ。お前ウインナー焼くのどんどん上手くなってきてるよな」
「ほんと?うれしいな///じゃあ、今日は特別だよ」
そういうと歌は自分でウインナーを半分ほど咥えて、駆の口元に近づけた。
「え…ええ?」
「ん…んん…」
戸惑う俺に歌はさらにウインナーを突き出す。
俺は恥ずかしくなってついうつむいてしまう。
「んんん!ん、ん、ん…」
ウインナーを咥えているせいで喋れない歌が、なにかを言おうとしながら顔を覗き込む。
(かわいい…)
「しょ、しょうがねーな…あ、ああん」
俺がウインナーを咥えた丁度その時、部屋の扉が突然開いた。
「たっだいま〜!予定より少し早めに帰ってきたぞう!」
「お、お父さん!もっとゆっくり帰ってきてもよかったのに」
(やべえぇぇ!!)
俺は慌ててウインナーを飲み込む。
「なんだ歌、あんまりうれしくなさそうだが…って小僧!貴様また何をしている!」
「お義父さん!俺、小暮駆はお嬢さんに口移しでウインナーを食べさせてもらっていましたぁ!」
「ウインナーぐらい一人で食べろ!あとお前にお義父さん呼ばわりされる覚えはない!」
「すみません…」
「歌も歌だ!お父さんはこの小僧との交際は認めんといったはずだ!こんなヘタレ野郎じゃなくてもっと別の男にしろ。なんならお父さんが一緒に探してやろうか?」
「駆はヘタレじゃないもん!駆のことちゃんと知りもしない癖に決めつけないでよ!」
ぱぁん!
大きな音をたて、歌の父さんの平手が歌の右頬をたたいた。
「て、てめえ歌に何すんだ!歌の父さんだからって許さないぞ!」
「小僧はだまってろ!」
「話にならない。駆、行こ」
「歌…」
歌に引っ張られながら俺たちは夢野家を後にした。
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ