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魔王の友を持つ魔王
§3 現世を満喫する魔王
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の張り切り具合がすごい。背景に炎がメラメラと燃え盛っているのが見えるようだ。

 「恵那さん、今のスサノオ?」
 
分かりきっているけれど一応確認。

「恵那でいいよー。 ってワケで、これからよろしくお願いします」

 そう言って三つ指をつき、深々と頭を下げる恵那。

「……へ?」

「恵那さん、須佐之男命様は何と仰られたのですか……?」

 突然の事態に硬直する主従。

「私の友達のお手伝いをしなきゃいけなくなっちゃってさ。この近辺に居た方が都合が良いんだって。で、れーとさんの住んでるココを当面の住居にしろ、ってことなんだ。おじいちゃまからさっき聞いたけどれーとさん寂しいと死んじゃう性格なんでしょ? エルちゃんもいるし恵那もいるから寂しくないよ」

 確かに寂しいのは嫌な性格だけれどさ、という黎斗の呟きはアッサリ流され恵那の爆弾発言は続く。

「こっから見つからないよう動かなきゃなのが問題なんだけどおじいちゃまが認識阻害の呪を込めた服を送ってくれるらしいからなんとかなるかな、って。だからこれから荷物とりに一旦帰るね」

 それだけ言って、恵那は部屋から出て行った。黎斗は荷物運びを申し出たものの「黎斗さんが動くと色んな人にバレちゃうからダメだよ」と言われたため自宅待機中だったりする。

「……人生初の同棲ですよ」

「須佐之男命様に見事に利用されつつからかわれてるカンジですけどね。女の子の頼みなら断らないだろう、的な」

「……ごもっとも」

 冷静なエルの発言に、黎斗はぐうの音も出ない。

「……手を出したらスサノオにロリコン呼ばわりされるんだろうなぁ。手を出すつもりはないけどさ」

 美少女なんだから男の家に泊まらせるなよ、とも言いたくなったが千歳を越えている彼が十代の少女に手を出したらロリコン扱いされそうで怖い。

「全てはスサノオの手のひらの上、か。多分僕の精神年齢二十いってないと思うんだけどなぁ」

 黎斗の溜め息はエルの付けたニュース番組の声にかき消された。荷物がかさばるから、と主に置き去りにされた天叢雲劍が反射を受けてキラリと光る。笑われた、と彼は思った。

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