§3 現世を満喫する魔王
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ないが、もしよかったら明日の朝食にどうだい?」
護堂の祖父のその言葉に甘えさせてもらい、朝食を用意してくれた彼に何回もお礼を言った黎斗は、包みを落とさないよう慎重に階段を登る。
「マスター」
どことなく張り詰めたエルの声。
「わかってる。誰だろうね。スサノオくらいにしか住居教えてないんだけどな」
自分達の部屋の前に、何者かの気配を感じる。須佐之男命の神力を僅かながら感じるので恐らく彼の子孫だろう、と適当に予想する。
「んー…… あなたがれーとさん?」
「……今日は美少女とよく会うなオイ。しかも巫女さん? 刀持ち? あー、なんかもうどーでもいいや……」
巫女装束の美少女が、見覚えのある太刀を持って体育座りでうつらうつら船をこいでいた。予想外の光景に黎斗は一瞬固まってしまう。鍵をかけていたから入れなかったのだろうが、いつから居たのだろう?
「そうです。僕が黎斗です。誰から聞いたんですか? あと、女の子が外で居眠りは危ないと思うのですがそれは」
誰かわからないのでとりあえず会話を試みてみた。仮に敵なら倒せるように、臨戦態勢に移りながら。
「良かったー、あってた! いやー、留守で帰ってくる気配ないからどうしよう、って悩んでたら眠くなっちゃって」
あはは、と笑う彼女に毒気を抜かれる。
「……とりあえず中にどーぞ?」
夜は冷える。風邪をひかれたらたまらない。黎斗は昼間買ってきたココアを早速使おう、と思いながら客人を部屋に招き入れた。
「うん、改めましてれーとさん。恵那は清秋院恵那っていいます。とりあえずこれからお世話になるかもしれないけどよろしくっ」
「まって、意味が分からない」
自己紹介したらコレである。黎斗はフリーズ状態だ。
「えー、おじいちゃまから聞いてない?」
「おじいちゃま?」
まるでおじいちゃまとやらが黎斗の知り合いであるかのような口ぶりだ。しかし悲しいかな、彼に知り合いと呼べるのは草薙家を除けば須佐之男命達しかいない。そこまで考えて、ふと思い出す。眼前の少女からは須佐之男命の神力を僅かながら感じるとれる存在であることを。
「……もしかしてスサノオのこと?」
適度に冷めたココアを飲みながら尋ねてみる。
「おじいちゃまが親友が越してきたから挨拶しとけ、って。……そもそもれーとさんって何者? 気配は一般人。魔力も無いみたいだし。部屋見渡しても呪術的な道具無いみたいだし。でもただの人がおじいちゃまと知り合えるもんなの?」
あ、ココアおいしいね、と飲みながら恵那は続ける。
「それに”他の人達にバレないように”挨拶してこい、ってのも気になるんだよね。れーとさんってもしかして危険人物でいろんな人から追
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