§3 現世を満喫する魔王
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ど」
笑みを浮かべて、彼は続ける。
「それに神の1人や2人で負けはしないよ。そんなヤワな人生送ってきてないって。……うん、油断はしないから大丈夫」
関係者が知れば戦慄するであろう会話を続ける2人。夕方の商店街でそんなことが話されていることを知るのは、当事者のみ。
「ん、じゃあこの辺で。みんなによろしく」
通話を切る。
「……!?」
???ふと、懐かしい、気配がした。
平静を装い、周囲を見渡す。少し離れたところに居た。
千年近く前に戦った顔。その力の前に逃走を余儀なくされた銀の髪を持つ美少女。
だが、どこかがおかしい。
「アテナ……!!」
彼女はこちらへ気づかず通り過ぎていく。僅かな違和感を残して。
「なんだ……? だいたいなぜ彼女が日本へ……?」
アテナと昔戦った時はボロ負けしたものだ。結局、ディオニュソスの権能を限界以上に酷使して精神攻撃を行い逃亡したのだけれど。
「僕を追ってきた? いや違う。それならば幽世に殴りこんでくる選択肢だってあった筈」
違和感が恐らく鍵だ。あの女神に何があったのだろう?
「マスター、アテナ様を気にするのは結構ですが六時になりますよ?」
「うわっ!? ヤベ!?」
慌てて走り出す黎斗。戦いの日々から離れ平和に慣れきっていた彼は、アテナの事をすぐに頭の片隅から追い払った。
「お、おじゃましまーす……」
「ははは、いらっしゃい」
「嘘!? お、お兄ちゃんが同性の友人を連れてきた……」
なんかすごい発言を聞いた。コイツはやはり非モテの敵か。
「静花、お前は俺をなんだと思っているんだ……?」
草薙家はとても賑やかだった。一人っ子である黎斗には、兄妹のじゃれあいが少し羨ましい。
「護堂が珍しく男の子の友達を連れてきたからね。少しいつもと変えてみたんだ。お口に合うと良いのだけれど」
そう言って朗らかに微笑む護堂の祖父は、やっぱりイケメンだった。
「草薙家のイケメンは遺伝か……っ!?」
草薙家のスペックを改めて思い知らされ、絶望する黎斗。
こーん。
自分を無視するな、とばかりにエルが飛び出してくる。もし妖狐云々を聞かれても、ごまかしきる。2人でそう結論を出したため、黎斗はエルの存在を大っぴらにする。
「きゃー!! この子可愛い!!」
「おやおや、これは小さなお客さんだね」
「黎斗、コイツどうしたんだ?」
三者三様の反応。狐はやっぱり珍しいらしい。護堂の反応ばかりはエルが「妖狐」であることに対してなのかは判断がつかないが。
「あぁ、地元で怪我してるトコを手当てしたら懐いちゃってさ。昼間はリュックの中に
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